深浦康市九段 vs 佐藤天彦八段
対局日:2015年7月27日
解説:田中寅彦九段
聞き手:鈴木環那女流二段

第23期銀河戦、いよいよ決勝戦まで来た 実力者で安定感のある深浦と、今勝ちまくってる若手の天彦
あら、解説がタナトラなのね 大丈夫か、解説できるのか、特に終盤(^^;

聞き手のカンナ「深浦は銀河戦で準優勝が2回あります」
タナトラ「深浦は、私が感じるにモチのような棋風 粘り強くて、放っておくとだんだん堅く重くなっている、だから非常に相手はやりにくい」
カンナ「天彦は前期の銀河戦でベスト4」
タナトラ「天彦は熱風吹き荒らして来るようなイメージがあります、対局中に火と燃えるようなオーラを発しています」

先手深浦で、すぐ飛車先を2つ伸ばす作戦から、角換わりとなった
タナトラ「深浦が天彦の得意な横歩取りを避けた出だしだった、でも天彦は角換わりも得意です」

カンナ情報によると、過去に2人の対決は一局だけで、深浦が勝っているそうだ(戦型は深浦の角交換中飛車)
雑談で、タナトラ「私も天彦と同じ27歳でA級に上がりました、一番強いときなんですよ、年齢的には」
これを聞いて私は笑ってしまった(^^; この言葉の意味するところは、天彦も今が頂点で、もうあとは現状維持で落ちていくということか?(^^;

さて、局面、角換わりの相腰掛け銀に進んでいる 天彦は右四間にして、△6四角と好点に据(す)えた、待機策だ
すると、深浦が面白い角を打ったではないか ▲8六角の合わせ!
タナトラ「おおおーすごい! んーなるほど 参考になりますねー」
これを天彦は取って、また△6四角と打つしかなかったのだが、すると深浦の自陣の銀が自動的に8六に進んで、深浦が一手得したという、ものすごい細かい技! 
うわー、これ、角の合わせはノータイムで指しちゃってるから、研究範囲なことは明らかだ 相当限定された局面だが、こんなところまで研究してるのか・・・

しかし、まだ深浦の研究範囲はここまでではなかった、2筋と7筋を突き捨て、一気に開戦! それもノータイム指し!
タナトラ「うわ、もう読み筋か、全部」

深浦は持ち駒の角を使って強襲をかけ、駒交換が行われた
カンナ「深浦九段はすごくこのへん決断良いですね、色紙に英断と書かれていますもんね」
いや、これ、この場の決断というよりも、この辺まで深浦の研究範囲と考えるべきだな・・・ もう手数は優に50手を超えている
ここまで研究されてると、相手としてはもうそうとう気分的に苦しいな・・・

タナトラ「天彦が桂損なので、何らかの形で動いていかないといけない」
お互いに相手陣に嫌味な歩の垂らしをして、面白くなってきた ここから終盤だ
タナトラ「天彦にいい手があるかどうか」
すると、天彦は全くそっぽと思える、相手の攻め駒を攻める手を指した こんな手、よく思いつくなあー!
こんな手は私が30分考えても思いつくかどうか

しかし、局面進むと、どうも深浦に分があるみたい 深浦が攻める時間が長くなってきた
さっきの天彦の意表の攻めは、とりあえず意味はあった
天彦は自らの自陣飛車の横利きを消す受けや、垂れ歩を取り去るなどしてがんばっている
タナトラの予想手、全然当たらなくなってきている(笑)  

タナトラ「やっぱりこれはどちらが勝つか、全然わかんないな」
いいよいいよー、タナトラの思考では捕らえきれない対局者2人の実力、こうでなくてはね~
でもタナトラは、指し手の後追い解説という形式で、がんばって説明してくれている
タナトラ「やりたい手を残しておく、味を残すという手が多いですね、ごちそうを陳列しておく」

難しい終盤となっている 盤上を広く使い意外と思える手を指す天彦、しかしそれにノータイムで反応する深浦
相手の考慮時間を使って自分もこんなところまで読んでるのか
そして、ついに天彦に息切れするときがやってきた
カンナ「これは、天彦の持ち駒だけで深浦玉を捕まえるのは・・・」
タナトラ「至難の業ですね」

局面、天彦玉にだけ寄り筋がある、深浦玉はもう広すぎて寄る見込みが立たない
タナトラが天彦に攻防の角を打つ手があると指摘している 実際、天彦はそれを放ったが、どうか
タナトラ「最後のお願い」 ・・・そういえば、ずいぶん久しぶりにタナトラの予想手が当たったな(笑)

すると、深浦は受けつぶしに出た!
タナトラ「これは深浦は詰ます気ないですね、そうまでして勝ちたいかって言うしか」
カンナ「決勝ですからね(^^;」
ナイスフォロー、カンナちゃん(笑)  勝ちたいやろ、そもそもプロの公式戦やで(笑)

が! なんと、深浦はただ受けていたのではなかった! 受けに利かせつつ、最短の詰みを狙っていたのだった!
深浦は光速の寄せを炸裂させ、広そうだった天彦玉を、あっさり捕まえた、おおー、見事、見事!
109手で天彦は投了し、深浦の勝利、優勝となった 

タナトラは、投了図からの詰みを解説を、無難にこなした 
あー、タナトラ、ちゃんと詰ませることができて良かったね、ちょっとハラハラした(笑)
タナトラ「深浦の仕掛けはそんなに見たことないです、仕掛けで桂得の戦果を上げて、うまくそのあと天彦の追い込みをしのぎきったという、全体から見ると、深浦の思惑通りの展開だったかもしれません」

これ、そのとおりだと私も思った、深浦の手の内ですべてが進んでいた一局ではなかろうか 天彦は、もうどこにもチャンスがない、ノーチャンスな一局、これはもう、負けで仕方ないな・・・
深浦は、序盤の作戦選び、綿密に研究されていた仕掛け、相手の手を読みつぶす中盤、手堅い終盤、どれをとってもスキがなかった! 勝利すべくして勝利した、完勝と言えるだろう いやはや、これが深浦か 強いな

タナトラの解説、凡人ぶりが出ていて好感が持てた(笑)  予想がはずれて、後追いで指し手の解説を聞くのも楽しいからだ
カンナちゃんの聞き手、以前は「ここで▲7六歩と指しました」みたいな見ればわかることを延々言い続けるという、非常に悪いクセがあったのだけど、今はもうすっかり治っていて、良くなってるよ いいね 
ただ、本局の解説者のタナトラはよくしゃべるほうだったので、もうあと0.8倍掛けくらいで、しゃべるのを控えめにして、意味のあることをしゃべるように厳選できたらもっといい聞き手になれると思う

時間の都合上、感想戦がなかったのが残念だった 
表彰式を、まとめてみた 以下、要約
連盟会長のタニー「決勝の一局は、深浦九段が良さを少しづつ拡大していった、深浦さんらしい勝ち方だったと思います」
株式会社囲碁将棋チャンネルの取締役の人の挨拶、割愛(笑)
表彰状、賞杯、目録、花束の贈呈

深浦の挨拶、これは全部書き出してみる
深浦「銀河戦をご覧のみなさま、最後まで観ていただき本当にありがとうございます
今期は決勝トーナメントから活きのいい若手、豊島さん、広瀬さん、佐藤天彦さんと、今を代表する若手の方と当たったんですけど、本当に自分にとっても出来過ぎで、この結果に自分で驚いています
今回は3回目の決勝戦ということで、以前成し遂げられなかった優勝をこの時期に出来たこと、本当に自信になります
銀河戦で優勝したことは本当に励みになりますので、また引き続きがんばっていきたいと思います
ぜひ銀河戦を観ていただいて、私もがんばりますので! ぜひ楽しみにしておいて下さい
今日はどうもありがとうございました」
「がんばりますので」に力がこもっていて、深浦の気持ちが伝わってきた

そして、さらに深浦に追い打ちのインタビューが3分ほどあった(笑) これは要約する
深浦「うれしいです、銀河位に恥じないようにがんばっていきたいです」

タニー、今年は失言しなかったなあ 去年の会長としての挨拶では、「この銀河戦というのは、1年間に100局以上も公式戦が生(なま)で観られるという、非常に贅沢な棋戦でありまして」と言ってしまったのだった
あれは面白かった、私は思わず「生じゃないだろ、録画だ、それも2~3か月も前の」とTVの前で突っ込んだものだ
今年も「生(なま)」の発言を期待したが言わなかったか(笑)

深浦の挨拶は本当にしっかりしていた 感心以外の何物でもないわ そんなに優勝インタビューの練習って、やってないと思うけど、今までの人生経験かなあ 紙に書いて読み上げたって、同じ内容になるだろう んー、本局と同じくスキがないインタビューだった(笑)  パチパチパチ

これで今年の銀河戦が終わりました! 関係者のみなさま、お疲れさま~
深浦九段、研究がすごい深かったですね 感服しました! 
私は来季の銀河戦の当ブログでの掲載については、また来季に考えます~