行方尚史 八段 vs 藤原直哉 七段 NHK杯 2回戦
解説 井上慶太 九段

行方と藤原、藤原が1回戦のときに見せたような将棋が指せるかが注目だ

行方は1993年四段、竜王戦1組、A級 前期準優勝のため1回戦はシード 19回目の本戦出場
藤原は1989年四段、竜王戦6組、C2 1回戦で佐々木勇気に勝ち 4回目の本戦出場 50歳だそうだ

解説の井上「行方はここ数年、すごく充実されてまして、名人戦でも挑戦者になられましたし、押しも押されぬトップ棋士の一人だと思いますね
藤原は私の弟弟子なんですけど、非常にセンスのいい、筋のいい将棋なんですね
しばしば上位者をよく負かすので本対局でもそういったところが見れるかどうかと期待しています」

事前のインタビュー
行方「藤原七段は居飛車党の本格派という印象を持っています、藤原さんとは初対局ですので楽しみにしてます
一局一局全力を出し切って去年より上に行けたらいいなと思っています」

藤原「行方八段は大変粘り強く、寄せも鋭いので全くスキを感じない将棋です
1回戦は少し消極的な内容でしたので、本局は攻めてみたいなと思っております」

聞いていた井上「藤原は1回戦は内容的に素晴らしかったですね
お互いに居飛車党で、藤原は相手の得意を受けてたつタイプなので、矢倉か角換わりのどちらかじゃないか」

先手行方で、戦型はなんと藤原の向かい飛車!
井上「向かい飛車ねー、驚きました 行方は対振り飛車が非常にうまいので」

持久戦になっていった
井上「行方の、粘り強さと、時間のないときの詰めを発見する速さは随一」

序盤でちょっと面白いことが起こった 
井上が「飛車交換になる場合は、低い陣形の本美濃が一番堅い囲い、高美濃はまずい」という解説をしていたのに、藤原は高美濃に組み替えていったのだ
井上「あえ!? ウソー ちょっと俺と感覚が合わんな~」
ここは笑えた

行方が松尾流と言われる4枚居飛穴に組み、駒が玉側にそうとう偏っている
もう、藤原が抑え込んで全駒するか、行方が打開できるか、という様相になっている これは見ものだ

藤原が飛車側の盤面を抑え込んで、快調に見えるが・・・
井上「藤原、どんどん攻めるという宣言どおりの手になってますね」
行方が早くも時間を使い切り、井上「まだこれ中盤ですけどね」
藤原、押せ押せ、全駒してしまえ! 私は判官びいきで、藤原の応援だ(^^;

何か小さく口ごもる行方
井上「行方は、うわー、って言うてますね うわー、言いながらいい手行くんですよ」
藤原が抑え込むか、行方がさばくかの見ごたえある戦いが続いている
井上「藤原はなかなか巧みに指してますねー、角出はいい受けですね」
しかし、その角出を行方は逆用した
井上「こうなると角出があんまり良くなかったかなー」

盤上かなりの熱戦の様相を呈してきた
うおー、藤原は竜を自陣に引いて受けるのか こりゃ堅そうだな

そんなとき、行方に、妙手が飛び出した ▲8二角という、秒読みとは思えない目のつけどころの一手だ 香取りかつ、藤原の竜を狙う、なるほどの一手!
井上「この角、ちょっと嫌な手やったねー 激戦ですね、しかしこれ」

井上も感心する攻防で、井上「いや~、ちょっとこれすごい将棋ですね 行方がうまく攻めをつないでいるようですが、まだ形勢わかりません」
これは手に汗にぎるな~ 

行方、香2本をつないで打ち、藤原の竜を取ることに成功した これもうまい手だった
飛車を持たれては藤原陣はバラバラだから・・・
そして、行方のうまい攻めの手のつなぎ方が止まらなかった
ついに井上が「これはたしかに、切れない攻めですね これはなるほどという手やね 困りましたね」

藤原、勝ち目なしと見て、戦意喪失、投了してしまった! 135手で行方の勝ち
あー、もうちょっと進めてほしかったが(^^;

井上「藤原がうまく局面をまとめて優勢だったと思うんですけど、▲8二角を打たれたときの応酬がどうだったかなという感じがします
けっこうもう、うるさくなってたんですかね 行方が堅陣を活かしてうまく攻めをつなげた、さすがだなと思いました」

藤原、大善戦だったよ 面白かった! 存分に力を発揮していたと思う
そしてそれを上回った行方・・・ 弱い人なら全くさばけずに終わっただろうが、細い攻めをつなぐ精度の高さ、もうさすがにトッププロだね 普通▲8二角なんて思いつかないしね
いや、今回は楽しかった 行方のさばきvs藤原の抑え込みで、何をやっているのかわかりやすかったからね
詰む詰まないはなかったけど、将棋を観たな~っていう充実感がある 一手一手、何が出るかなとドキドキしたもん
藤原の善戦のおかげだね 後手向かい飛車も有力な作戦と示して、よくやってくれた 面白かった!