泣き虫しょったんの奇跡 完全版 サラリーマンからプロ棋士へ
瀬川晶司著 講談社文庫 640円+税 2010年2月第1刷発行
評価 S  コンセプト<瀬川さんのプロ編入試験を受けるに至った半生の回想>

2006年に出た「泣き虫しょったんの奇跡」に、巻末に一つの章(プロ入りしてからの話)を加えた完全版で、2010年に出された文庫本です
私は瀬川さん関連の本について、どういうわけか全く興味がなく、読んでいませんでした

10年前の瀬川さんのプロ編入試験のとき、なんで私は全く興味を持たなかったのか、けっこう謎です
どうでもいいや、と思って完全にスルーしてました(笑) 
私は瀬川さんの活躍したころの銀河戦も観てなかったですね

私はここのところ、天野貴元さんの「オール・イン」、そして今泉健司さんの「介護士からプロ棋士へ」を読み、この瀬川本も読んでおこう、と今頃になって思ったわけです 今頃この本のレビューです、すいません(^^;

そしたら、この「泣き虫~」、もう素晴らしく面白いじゃないですか それも最高と思えるぐらいに面白い
瀬川さん、なんでこんなに色々と昔のことを正確に覚えているのか? 小さい頃のことから学生時代のこと、奨励会のこと、辞めて社会に出るまでのこと、そして編入試験のこと・・・
表現力もすごくて、風景描写、人の言動、どれも非常に読みやすくまとまっています

幼い頃、お兄さんに空気銃で狙われて、屋根まで逃げる瀬川さんのシーンが好きですね
ワニが両生類であることに1億円を賭ける、という奨励会員がいたところとかね
けっこう笑えるところもある本です

数あるエピソードの中でも、勝又三段が対局中に1分の秒読みなのにトイレに立ったところの、瀬川三段の心の描写は秀逸!
こんなの、まるでマンガじゃないですか・・・

天野本、今泉本、そしてこの瀬川本、どれもよほど手練れ(てだれ)の編集者がついたのでしょうか?
この3冊、どれも文章がうますぎる!! 3冊とも、本を初めて書いた人たちの作品とはとても思えないです 
私からしたら、この3冊は別格にすごい!

本来ならこの3冊は、すべて評価をSにすべきところなのですけど、天野本は奨励会を辞めてからのエピソードが少なかったので評価Aにしちゃいました (退会後にすぐにガンになってしまわれたので、実際あれ以上に書きようもなかったですが)
今泉本は「晩成しました」とサブタイトルに書いてしまってあったのでマイナスということで、評価Aでした
この瀬川本は、素直に評価Sです 瀬川さんが今もっと活躍してればさらに良かったとは思いますけど・・・

いやー、面白い本に出合えるっていいね  やはりノンフィクションは、最高!