阿部光瑠 六段 vs 久保利明 九段 NHK杯 3回戦
解説 戸辺誠 六段

今回から3回戦、ベスト16とのことで、トーナメント表が新しくなっていた
久保の登場、確実に振り飛車が観れるのだ 私は対抗形が大好きだ 

光瑠は2011年四段、竜王戦4組、C2 1回戦で佐藤秀司、2回戦で深浦に勝ち 4回目の本戦出場
久保は1993年四段、竜王戦1組、A級 2回戦で藤森に勝ち 20回目の本戦出場

解説の戸辺「光瑠は奨励会をかなりのスピードで駆け上がりまして、天才というイメージで、実際そういうタイプの棋士
オールラウンダーで振り飛車、相振りも指す やわらかい受けが持ち味
久保のほうは振り飛車の達人 最新形にも精通している、さばきのアーティスト また、粘りのアーティストという裏の顔もあります 私も勉強させてもらっています」

と、ここで異変が起こった 両対局者へのインタビューがなく、あっさり対局が始まってしまったのだ
まあ、いいか・・・ このブログでは両者が何を言うのか、ひたすらメモってきたわけだけど、明らかなファンサービスをしてくれたのは、結局、佐藤紳哉とハッシーくらいのものだった インタビューがなくなってしまっても仕方なかろう

先手光瑠で、光瑠は時間を使いながらの丁寧な、ゆっくりした立ち上がりとなった
静かな序盤になったのは、久保が角道を止めての藤井システム模様だったこともある
戸辺「久保は最近、ノーマル四間で藤井システムを目指すことも多い、ノーマル四間はほっとしますね」
これ、全く同感だ 将棋は序盤といえど緊張感のあるゲームだが、ノーマル四間は、のんびりするなあ

かなりの持久戦となり、▲光瑠の玉頭位取りvs△久保の四間、となっている
戸辺「昭和の戦法」
しかし、いったん駒組みが飽和したと思ってからが違った 両者、穴熊に潜るという現代感覚だ
戸辺「久保の得意な形ですよ、銀冠に囲ってから低い穴熊を作る」
光瑠の穴熊への組み替えには、清水が驚いていた
清水「これが現代将棋なんですね、玉頭位取りからでも穴熊に」
戸辺「光瑠のほうは欲張った作戦ですね、位も取って穴熊に」
光瑠の作戦、成立するや、せざるや・・・
必然、7~9筋に駒が密集することになった

雑談で、戸辺「久保は相手をすると嫌なタイプです ここまでは定跡、約束でしょというところで久保のセンサーに反応すると、たちまち動かれてしまう 久保は序盤戦術をリードする存在 久保の棋譜は必ず並べないといけない」
久保の棋譜は並べてて面白いだろうな、と思う 何をするか分からないもんね

清水「光瑠は5歳のときの夢がプログラマーとのこと」
戸辺「やるだけで将棋が強くなるソフトとか、発明してほしいですね(笑) 」
あの、そんなソフトができて、誰でもが楽して超強くなれるなら、プロはみんな廃業になると思います(^^;

さて、久保から仕掛けて、戦いが起こっている
久保が相手の飛車成を放置したのにはびっくりしたが、端攻めに行った久保を、今度は光瑠がなんと放置のお返し!!
こんな早い段階で穴熊の端を放置するなんて・・・
残りの考慮時間が差が開き、光瑠▲2回vs久保△9回となった
戸辺「自然な進行でしたけど、光瑠は思ったような戦果が上がらず焦っているかも」

結局、久保の端攻めはかなり長い手数(15手)の間、放置されることになる 
清水「激しい終盤になりましたね」
戸辺「この銀を取ってるヒマはないです・・・と言っていたら久保は取りましたね」
そして、見切ったように自陣も放置した久保
戸辺「さわやかだったので、久保のほうが勝ってると思うんですけど」
この一局を通して、戸辺の形勢判断の仕方が面白かった
「さわやかだったので」とか「秒に追われないで指しているので」とか「手つきで」とか、雰囲気重視の形勢判断(笑)
でもいいよいいよー、形勢に関して何も言ってくれないより10倍マシだからね

久保の難しい手を戸辺が解説で当てる場面もあり、久保の強襲が続いている
光瑠も自玉の周りに駒を打ち付けて、必死の抵抗を見せる いいよいいよー、穴熊の終盤らしい攻防だ
戸辺「久保が殺到している、久保のペースと思います」
端攻めがいよいよからんできて、厳しいなあ 
両者の持ち駒を見ると、歩以外の駒では、光瑠が大駒3枚、久保が金銀4枚だ
うわ、光瑠はこれを使って受けなきゃいけないのか 苦しいなー
何しろ、相手が久保だから、ミスが期待できない

すると、その予感が的中した バンバン攻める久保、歩打ちかと思われたところを、採算度外視の金打ち!
おおー、それがいい手か、なるほどなー 戸辺も感心し、
戸辺「なかなか指せない、ゴージャスな寄せですね」
光瑠もなんとかしようとしたのだが、いかんせん、持ち駒が大駒ばかり、久保の厳しい追撃を逃れることはできなかった
久保はこれぞ、A級棋士の寄せといったところを見せた
102手で久保の快勝となった

戸辺「駒がぶつかって、一気に終盤になったじゃないですか もうあそこで光瑠に誤算があったのではないか 久保がすごくうまく局面をまとめて、一気に優勢になった 
光瑠は穴熊にした構想が良くなくて、不本意な将棋になってしまった」

感想戦で、光瑠は「駒組みが良くなかったか (久保に)すんなり穴熊に組まれちゃったんで」
光瑠の駒組み、不自然だったもんね 少なくとも、他人がマネをしないだろう

本局、久保の会心譜と言えると思う 久保としてはこれくらい当たり前なのかもしれないけど、ノーミスと思える内容には感服だわ 終盤も全く安心して観ていられた 光瑠を寄せ付けなかったね
相撲で言えば、がっぷり組み合った状態から自然な体さばきで優位を築き、怒涛の寄り切りという、横綱相撲だったと言えると思う
さすが久保、世界一振り飛車がうまい人は、こうでなくっちゃね!

久保の強さに満足した一局だった 居飛車党ばかりが上位を占める中、久保はすごく貴重だ
今期はもう羽生も渡辺も負けたんで、久保が優勝したらめでたいな、と思った