豊島将之 七段vs佐藤康光 九段 NHK杯 3回戦
解説 森下卓 九段

豊島の前髪が、元に戻って一安心だ 強豪の康光との一戦、豪華カードだ

豊島は2007年四段、竜王戦1組、B1 1回戦で塚田、2回戦で三浦に勝ち 7回目の本戦出場
康光は1987年四段、竜王戦1組、A級 2回戦で宮田敦史に勝ち 27回目の本戦出場

解説の森下「豊島には若武者という言葉がピッタリ 私とは年齢が2回り違う
康光とは30年ぐらい戦ってきました  強豪の風格がふさわしい
戦型ですが、最近康光は角交換振り飛車に独自の、余人を持って代え難しという作戦を取られていますので、それの力戦が観れるかもしれません」

先手豊島で、居飛車 後手康光、注目の作戦は、ふつうに居飛車・・・かと思いきや、飛車先を2つ伸ばしてから、向かい飛車にするという、変わった作戦だった
森下「どう見ても居飛車から振るのが康光流」
しかし豊島も、どんどん指していく 「想定内です」という豊島の言葉が聞こえてきそうだ

2人の対戦成績が出て、豊島5勝、康光6勝とのこと

結局、▲居飛穴vs△銀冠の、対抗形の持久戦に落ち着いた
清水「康光は最新形を研究するのは、すごく好きなんだけれども、人から教わった手を指すのは好きではないんです、とおっしゃってました」

じっくりした駒組み、飽和状態になったところを、康光から仕掛けていった
2人とも強い棋士なので、観ていて安心感がある
そんな中、豊島が「自分の飛車先をさえぎる歩打ち」をして、発想の豊かなところを示している

康光の強引な攻めが続いたが、豊島が、これまた、なるほどという発想の受けでしのいだ
穴熊を再構築する受けに、角を打ったのが、うまい 
受けに打つなら銀かと思われたところを、角を打ったのだ 
銀は後から打ったほうが、より堅い玉になる  どうせ2枚とも打つ進行だったのだ
指されてみれば、なるほどだ

攻めでも、豊島に鋭い着手が出た 飛車を犠牲にする、鮮やかな寄せ筋だった
駒損になるが、攻めが続けばそれでいいところだったので、見事な判断だった

145手、豊島が終始安定し、攻め勝った 全体を考えれば、力勝ちというところだ

森下「康光らしい力戦振り飛車から、すごい攻め合いだったんですね 
しかし途中、桂2枚を豊島が得をした局面がありまして、その得を豊島が活かしきったです
康光の頑強な受けもすごかったですけどね
豊島が若武者らしい見事な寄せをみせてくれた」

やっぱり、豊島からは地力がすごい感じられる、そうそうミスはしないという、安心感、安定感があるねえ
発想も豊かだし、A級にふさわしい棋士だ 早くA級に上がってほしい
今期はB1で5連敗スタートだったけど、その後4連勝している 
私は豊島は落ちないと思っていたよ

展開的に、康光としては自分から仕掛けたのが裏目という形になってしまった
ただ、この飛車先を突いてからの振り飛車、前から気になっていたが、プロでも有力なのだろうと思った
それをやってくれた康光のファンサービスはありがたいものだ
豊島は、将来の名人候補の異名に恥じない指しっぷりだった 若手がしっかりと強い、いいことだね