才能とは続けられること 強さの原点
羽生善治著、というかインタビューの書き起こし
2012年2月初版だが、実は2008年10月のTV放送から取り上げたもの 
PHP社 定価 1100円(税別)  評価 A 

また古い本のレビューです
この本、私は図書館で借りました 将棋本のコーナーに置いてあったのです
文字は大きいし、120ページ強で終わるし、中身の少ない本かな?と思いましたが、そうではありませんでした
でも買うほどではないしで、結論として、図書館で借りるにピッタリの本でした(^^;

印象に残った羽生さんの発言を抜き出しておきます
P33より 「人間には二通りの考えがあると思うのです。不利な状況を喜べる人間と、喜べない人間。(中略)たとえ不利な局面でも、あまり落ち込まずに淡々と指していく。ここが勝負のツボを見出すポイント」

そりゃ、それができれば将棋では圧倒的に有利になりますねえ 羽生さんは不利を喜べる第一人者、さすがです

P44 「対局前には必ず頭を休ませます。人によっては、将棋の研究をして将棋漬けになっている人もいますが、私は頭の中を空っぽにし、ボーッとできる空白の時間をつくるように心がけています。」

これは私も、休ませる派です 
単に体力の問題も大きいですが、アマの大会の対局直前は将棋の駒すら見ないようにしていました
一度、「5手詰ハンドブック」を解いた直後に対局して、戦ってる最中にバテてしまったので(笑)

P52 「常に手堅くやり続けるのは、長い目で見たら一番駄目なやり方だと、私は思っています。将棋はどんどん変化していきますから、勝率の高いやり方をずっと続けていると、もたなくなるのです。目の前の勝利は、とても大事なことではあるけれど、私はあえてリスクをとる。」

だから羽生さんの将棋は元気があって面白いんですね
でも、もっと振り飛車を採用するというリスクはとってくれないんでしょうか(^^;
羽生さんが振れば、私を含め、もっとアマチュアは喜ぶと思います 

P75 「なんでも合理的に割り切って無駄を省き、徹底してやるやり方が必ずしも一番いい方法ではない、と私は思っています。」

これは、渡辺竜王の「高い勝率のやり方を採用」、「指し手は合理的に」という発想と、完璧に反しますね
羽生vs渡辺の対決は、これからも興味深いです

コンピュータと人間について
P121 「私の予想では、今は考える方向性はまったく違うけれど、最終的に選ぶ一手、決断は同じになるのではないかと思っています。」

この羽生さんの予想は、はずれそうです・・・ 
これまでの電王戦で、散々、コンピュータはプロ棋士の想像できない手を指して、プロ棋士を破ってきましたからね
(GPSの△8四銀、習甦の古い囲い方、ponanzaの屋敷戦の△1六香と△7九銀、村山戦の▲7七歩から飛車交換拒否)

P121 「私としてはコンピュータがどんな手を指すのかに非常に興味があり、機会があれば対戦してみたい気持ちはあります。そのときは勝ち負けではなく、面白く、楽しい将棋を指したいと思います。」

うわ、羽生さんはこんなことを言っていたのか、でも2008年時点での話ですけど・・・

この本は、多くの漢字にふり仮名をつけてあって、それはいいと思うのですが、ふり仮名がついてない漢字も半分くらいあります
それが残念といえば残念ですね もう全部につければいいと思いました

羽生さんがしゃべりたいことをしゃべった、中身のある本だと思いました 
でも今から買うなら中古で充分と思います