伊藤博文 六段 vs 増田康宏 四段 NHK杯 1回戦
解説 稲葉陽 八段

56歳の伊藤vs18歳の増田という、ベテランと若手の対決となった

伊藤は1984年四段、竜王戦6組、フリークラス 予選で中村太地に勝ったとのこと 4回目の本戦出場
増田は2014年四段、竜王戦5組、C2 本戦初出場 まだ高校3年とのこと

事前のインタビュー(要約)
伊藤「私は相手に合わせて対抗形にする、最年長vs最年少なので楽しみ」
増田「一勝できるようにがんばりたい」

▲伊藤の四間飛車+4枚高美濃vs△増田の4枚穴熊となった

実に長い時間、駒組みをしている 駒がぶつかるまで、番組開始から40分近くかかってしまった
ハッキリ言って、特筆することもなく、ヒマであった
稲葉「先手の伊藤側から見ると、後手が堅過ぎてクラクラしますね」
これはそうとう、伊藤が勝ちにくそうだな どうやってこれを崩していくんだ 
伊藤が勝つには先が長いとしか言いようがない

伊藤が飛車の位置をさかんに変えて、対応していっている
稲葉「伊藤は四間→三間→中→向かいと、すべてに振りましたね」
この辺が振り飛車の難しいところだ 
居飛車はとりあえず飛車先突破を考えていればまず間違いないのだからなあ

さて中盤、さばき合いに入ったが、伊藤が感触の良さそうな手を指した
飛車をふわっと浮いた▲5四飛という手で、この対局で初めて私は「おお」と声を上げた
これはなんか、良さそうな手! 稲葉が「この飛車は四段目に横利きが強い」と解説している
よし、抑え込めるか伊藤!
考慮時間も、伊藤▲5回vs増田△0回となった いけ、伊藤!

大きく駒交換が行われ、形勢はどうか
伊藤がいけるかと思っていたが、なんかだんだん、増田の攻め駒も、足りてきてるような・・・
増田は飛車を取られたけど、もう別に飛車はいらないし・・・

そして、増田の攻めが続き、つながり始めた
拾った桂香、と金の活用、そしてちょうど落ちていた歩、すべてがうまく攻め駒として機能し、増田が伊藤の美濃を壊滅させていった
増田の攻めに、伊藤の受けが間に合わない
あああああーーー 一方的に美濃だけボロボロになる展開・・・
稲葉「穴熊は優勢になるとわかりやすいですね」

最後の即詰みも鮮やかで、増田がきれいに勝ち切った
118手で増田の勝ち

稲葉「伊藤がうまく指している局面はあったんですけど、やっぱり一手間違えてしまうと穴熊の堅さが活きて、うまく増田が攻めた一局になりましたね」

伊藤は、あの飛車を▲5四飛と浮いた手には手ごたえを感じていたようで、
伊藤「受け間違えた?飛車浮いたときは感触良かったんやけどな」と言っていた

感想戦では、伊藤に良くなりそうな手が示されていた 
ああー、でも本譜は間違えてしまったか 
振り飛車側は全部完璧に受け切らないといけないわけで、穴熊側のさばきをどこかで許してしまうケースが圧倒的に多い
今回も、御多分に漏れず、穴熊が勝つパターンの典型的な展開だった

序盤で4枚穴熊に組ませては、人間同士の戦いではもう作戦負けと言っていいのでは、と、再認識させられた、私には残念な展開だった
「4枚穴熊は勝ちに直結する、堅さは正義」、本局もそういう将棋だった 合掌 

ただ、伊藤は中盤までよくやっていて、強さは見せたと思う
増田は沈着冷静な手の連続で、きっちりと攻めをつなげて仕上げていたね
まだ18歳ということなのに、落ち着きぶりは実にたいしたものだった それが見れたのは良かった