第16期 銀河戦
本戦Dブロック 3回戦
糸谷哲郎四段 vs 伊藤 能五段
対局日:2007年11月22日
解説:阪口 悟四段
聞き手:古河彩子女流二段

注目の怪物糸谷登場 今期ここまで13勝8敗とのことだ
去年に比べればぱっとしないが、大学生活が忙しいのかもしれない
対するは伊藤能 これまで伊藤果と田村に勝っている
糸谷がどんな将棋を見せてくれるのか、自分としては非常に楽しみな一局だ

先手糸谷で横歩取り、後手伊藤は△8四飛型にする
中盤、後手が△8六歩、と合わせてきたところで、先手は▲2五桂と跳ねた
この手はびっくりした このタイミングでの桂跳ねは、糸谷のセンスを示した一手だろう
自分は、桂馬は▲4五桂と跳ねることしか頭になかった
これは伊藤も全然読んでいなかったそうだ
事前に長考していた伊藤は、リズムを狂わせられることになった
いきなり後手は困ったか、と思ったが、伊藤も△2四角とがんばった

その後、第二次駒組み合戦になる
ここでも、糸谷は▲1六歩という、一見わけのわからない手渡しを指す
さらに、▲5八玉~▲2九飛という手も、後手に手がないことを見越した手だ
このあたり、糸谷はただものでない雰囲気がある
こんな落ち着いた手が指せる19歳というのはすごいと思う

一歩損している伊藤は、△3七歩~△6五桂という手で勝負を賭けた
しかし、糸谷はその攻めにも冷静だった
△3八角と暴れてきた手に対し、▲同金と取ったのが決め手だった
この角を取る手は、自分には全く見えなかった
伊藤も、解説の坂口も、気が付かなかった手だった
これで後手の攻めは、はっきり切れた
もし飛車を逃げていたら、相当の勝負になっていたとのことだ
あとは、糸谷が順当に寄せて勝った

糸谷の、相手の攻め筋を事前に完璧に封じる見事な指し回しだった
後手の攻めは、歩があと一枚足りなかった これは△8四飛戦法の宿命のようなものだろう
坂口の解説は初めて聞いたが、声が聞き取りやすくてなかなか良かったと思う

糸谷の一連の落ち着いた指し回しは、とても19歳の若さとは思えない
感想戦でも、意見をはっきり言い、全然臆することがなかった
糸谷がただものでないことを再確認できて、面白かった一局だった