阿部光瑠 六段vs谷川浩司 九段 NHK杯 1回戦
解説 中村修 九段

54歳のベテランと21歳の若手、どっちが胸を借りるのか、見ものだ

タニーは1976年四段、竜王戦2組、B1 37回目の本戦出場
光瑠は2011年四段、竜王戦4組、C2 5回目の本戦出場

解説の中村修「タニーは会長という要職にありながら、がんばってます 終盤がさび付いていない
光瑠は私の弟子、早指しが際立って強い 今日は会長に胸を借りる」

事前のインタビュー
タニー「光瑠は若くして四段になりまして、新人王でも優勝して早指しが得意で才能あふれる将棋
1時間半、集中できるようにがんばりたい」

光瑠「いつもどおり自分らしく戦えたらいいと思います
一局でも上に行けるように精一杯がんばりたい」

先手タニーで、横歩取りになった なかなか解説が始まらず、今回は特に待たされたように感じた
横歩取りの持久戦形だ  光瑠が△8五飛としたときに、タニーが手持ちの角を▲7五角と飛車にくっつけて打った手が、工夫の手だった 狙いは光瑠の飛車を閉じ込めるということだ
なるほどな~、先手のタニーが一歩得しているから、局面を落ち着かせれば先手が良くなるということか
中村修「じっと見てるうちに、この角は良く見えてきた」

ところが、それを上回ったのが光瑠の構想だった 
なんと飛車を8五から一つ寄る△9五飛! 狙いは光瑠から見て右回りの△9四飛~△2四飛の構想!
中村修「うわ~ これがね~ 飛車って横に動けるんだな~ やわらかいな~」

そして光瑠の飛車の動きが実現し、局面は光瑠が指しやすい
光瑠、持ち駒として温存しておいた角を急所に放ち、馬を作ることに成功 光瑠、ずいぶんいいように見える
タニーは苦心の末、角を繰り替えてがんばっている しかしこれではタニーはつらそう・・・

攻め込まれるタニー、飛車が完全に遊び駒なタニー、首をかしげるタニー
もうタニーの玉は風前のともしび、光瑠の攻め駒が躍動してきて、あとは寄せを見るばかりと、誰もが思ったであろう、そこからだった ドラマがあったのは・・・

中村修「谷川会長の顔にやる気が出てきました」 
え? タニーの手裏剣の歩が効いてきたか でもまあ光瑠が勝つだろう?
中村修「これは混戦になりました」 
ええ? 光瑠が何か悪い手をやったのか でもまあ最後は光瑠が勝つんだろう?
中村修「これは逆転しましたね~」
げええ タニーの陣、いつのまにやら、めっぽう安全になってる  どうしてこうなった、どうしてこうなった

聞き手の藤田「光瑠の首をかしげるしぐさがありましたね」
なんで、こうなってんの~ 光瑠の必勝態勢じゃなかったんかー

で、光瑠、攻防ともに見込みなしとみて投了! 99手でタニーの逆転勝ちとなった

終局直後、タニー「どうしようもなかったですけどね」
やはりそうか あああー 光瑠・・・

中村修「光瑠のいいところがよく出てて、勝ちだと思ったんですけどね
最後、どこでひっくり返ったのか? タニーの形づくりかと思った攻めが効いてきた」

感想戦で、タニー「必敗でしたけどね」
タニーもそう思ってたか 感想戦では光瑠の馬の使い方が問題になっていた

あーあ、光瑠、△9五飛の着想から、すべてがうまく進んでいたと思ったが、寄せで間違えたために大逆転
プロでも寄せは難しいんだなー 将棋の終盤はやはり難しいと思った

ドラマとしては面白かったが、光瑠にはプロならこれは勝ち切ってほしかった
結局、どっちが胸を借りたのか、この内容ではよくわからなかった(笑)

ところで、最近の横歩取り、特に問題なく観戦できる
プロ間で15年くらい前に流行った△8五飛の中座飛車は、定跡だらけで私はちんぷんかんぷんだったのだが、近ごろの形は、模様をどう取るかの勝負で力戦になりやすい
私はわりと楽しく観戦できている いいことだと思う