2016.07.23 不屈の棋士
不屈の棋士 大川慎太郎著 講談社現代新書 840円+税 2016年7月20日初版発行
評価 S  コンセプト<プロ棋士たち11人へ将棋ソフトに関するインタビュー>

ひさしぶりの棋書レビューです
私は今まで、この「ソフトの件」については、イライラしていました
その原因が、「プロ棋士がソフトに関して、あまりしゃべらない」ということに起因していたのだということがこの本を読んでわかりました
本書、かなり突っ込んでインタビューをしてくれています
例えば羽生さんへの質問を一部抜粋してみます

大川「第1期叡王戦にエントリーしなかった理由を教えてください」
大川「羽生さんがいま、もしソフトと戦うとしたら、アンチコンピュータ戦略というか、たくさん対戦して弱点を見つける、というような準備になるのでしょうか」
大川「将棋指しは『強い相手と戦いたい』という欲求をお持ちだと想像しますが、大舞台でソフトと指してみたいという思いはあるのでしょうか?」
大川「『いまいちばん強いソフトと対局したら勝つ自信はありますか?』という質問にはどう答えますか?」

・・・まだまだどんどん延々続く質問の嵐(笑)  こういう刺激的なインタビューとその回答が、延々318ページ
つまらないわけがないです  
ただ、延々ソフトに関する質問集なので、私は「またソフトの話題か!」と、途中で思ってしまいましたけど(笑)  それは、そういうテーマの本ですから(笑)  ちょっとずつ読むのがいいんでしょうかね  

千田さんがやっぱり面白い存在で、研究にソフトを取り入れまくっています
そしてその対極の存在として、ソフトに背を向ける行方さんのような人もいる
私は行方さんに共感してしまいます
千田さんは棋力向上と言ってますが、完全にソフトに依存する勉強の仕方で、100%ソフトの指示どおり指せるようになったとして、じゃあ人間の存在意義って、どこにあるのか? それはもう人間というよりソフトそのものではないか、そう思ってしまいますね

「プロ棋士の存在価値はこれからどうなるのか」、「ファンが離れていくのではないか」という過激な質問もバンバンしてくれていて、プロ棋士もそれに対して何らかの答えをしてくれています
「電王戦の貸し出しルール」に賛成か反対か、そして「評価値」が視聴者向けに出ることにどう思うかも質問してくれていますね

普段のプロの研究において、私が思っていたより、もうプロ棋界にはソフトが浸透していることがわかり、私はショックで、「あー、もうプロの将棋は割り引いてしか楽しめなくなっちゃったな」という思いが沸きましたが、しょうがありません

とにもかくにも、丸々本一冊分、こういう機会を設けてくれたことにより、私の「イライラ」はかなり解消されました
貴重な証言集に仕上がりましたね
大川さん、そして答えてくれたプロ棋士のみなさん、ありがとう

私のような一ファンが、これからもプロ棋士の将棋を観続けるのか、それは自分で決めていかないといけません
私はまだ葛藤の日々を送ると思います・・・(^^;