橋本崇載 八段 vs 三浦弘行 九段 NHK杯 2回戦
解説 飯島栄治 七段

悲しい意味での、世紀の一戦になってしまった
ソフト指しカンニング疑惑がかかっている三浦と、「1億%クロだと思う、奴とは二度と指したくない」とツイートしたハッシーの対戦

番組冒頭、「この対局は9月19日に行われたものです」とテロップが流された
私はNHK杯がいつ収録されているかは知りたくなかったよ
まあ、週刊新潮ですでに報じられていた日付ではあったが・・・
このテロップ、同じものが番組中、6度も流されることになった
注目度の高い証と受け取るべきか、やるせない注目だなあ

ハッシーは2001年四段、竜王戦1組、B1 12回目の本戦進出
三浦は1992年四段、竜王戦1組、A級 21回目の本戦進出

飯島「橋本八段はファンの方にも人気があって、棋士としては超一流なんですけどもね
力戦を非常に好みまして、独自に開発した作戦を構築して研究を進めて勝ちを積み上げてきた棋士です
指し盛りの歳ですしさらなる高みを期待してます
三浦九段は1日に10時間ですか、研究されるということで将棋界では1、2を争う研究量なんです
私も研究会をご一緒してまして、40歳を過ぎて研究にいそしむというのは本当に素晴らしいことで、さらなる戦歴を積み重ねてほしいと思います
攻め将棋という部分もありまして受けも強くて全体的にバランスがよくて隙がない棋士ですね」

事前のインタビュー、今回は特に詳細に再現してみよう
藤田「三浦九段の印象はいかがですか?」
ハッシー「そうですね、あのー最近ではタイトル戦の挑戦者にもなられてすごく充実している上に、まあまあ、強いと思います、大変な強敵だと思います」
藤田「本局はどのように戦いますか?」
ハッシー「そうですね、まあちょっとしょうがないと思ってるんですけど、朝起きたときから目の調子が悪くてあんまり目が見えてないんですけど、指し手もあんまりよく見えないんですけど、えー、で、なんでしたっけ、まあ、はい(笑) いい将棋を指せるようにがんばります」

藤田「橋本八段の印象はいかがですか?」
三浦「えー、橋本八段はもちろん実力者なんですけども、将棋以外の番組にもたくさん出演されていますので、将棋普及に多大な貢献をされている棋士の1人だと思います」
藤田「今期NHK杯の抱負をお願いします」
三浦「2年連続初戦負けでしたので、今年はがんばって初戦突破をしたいと思っています」

飯島「橋本八段が振って、対抗形になるのでは」

先手ハッシーで、相居飛車の横歩取りとなった
三浦の△8五飛+中原囲いvsハッシーの▲6九玉型だ ハッシーも中原囲いに近い形
飯島「橋本は最近居飛車を指しているみたい、かなり以前に流行した形
この▲6九玉型がいい形で、△8五飛は減った」

序盤、かなりさくさくと手が進んだ
飯島「有利なほうが一方的に勝ってしまう将棋」
飯島「橋本が横歩取りの最先端を指しているというのは、棋風チェンジを感じますね」

2人のこれまでの対戦成績が出て、ハッシー3勝、三浦4勝とのこと
飯島「実力が拮抗してますから、半手差の終盤になると思いますね」
うーん、今書き起こしてみると、飯島の解説が矛盾している(笑)
ハッシーの作戦選択、そして「かなり以前流行した形」のはずが「最先端」 そして、「一方的に勝ってしまう」と言いつつ「半手差になると思う」
まあ聞いているときにはそんな矛盾は感じなかった

三浦から仕掛け、△2八歩という先手の桂に当たりをかけた手を指した
飯島「これはもう三浦が踏み込んだ」
ハッシー、この歩を取れず、早くも桂が死んだ
おー、これは早くもハッシーが困ったのでは、と思って私は観ていた

雑談で藤田「三浦は研究会のときはどのような感じなんでしょうか」
飯島「本当に優しい先生ですね、後輩の方にも慕われているので」
人付き合いがあまりなさそうと思われている三浦、実態はどうなのだろうか

局面、三浦が強引に飛車をぶっつけ、強気で押している
飛車角の総交換になった
飯島「これはけっこう三浦がやれる変化になってくるかもしれませんね」
うむ、三浦は攻めがわかりやすいが、ハッシーには手があるのか?

また雑談で、飯島「橋本八段はハッシーと呼ばれ人気ですね、非常に偉い先生になったので、私はハッシーと呼びにくいんですけど(笑) 」
まあ、ハッシーはファンが使う通称だよね(笑)

さて局面、飯島が「三浦からの攻めのほうがわかりやすい」という中、ハッシーに「これは」という手が飛び出した
じっ、と7筋の歩を突いて、相手に手を渡す▲7五歩・・・! これ自体はまだ何の効果もない
私がこの一局で「おお」と声を上げたところだった
この歩が間に合うんか! これしかなかったかもしれないけど、7筋の歩を地道に伸ばすのが最善と判断する大局観はすごい!
飯島「この橋本の手はツライところもあるんですけど、攻めが軌道に乗ればいい」

三浦はさきほど打った△2八歩で桂が取れたのだが、まだ取らずに、△8八歩という手を指した
盤上で桂3枚が取りになって交錯しているという珍局面が発生
これは面白くなってきた・・・ 三浦はナナメ上45度を向いて考える、おなじみのポーズを取っている
飯島「スタイルなんでしょうね、棋士個人個人でいろんなスタイルがありますから」

形勢、私では本当にわからないなー 
まだ三浦がいいのだろうが、なんか、△2八歩がこのまま空振りに終わると怖い
ハッシーからの攻めはどれほど厳しい手があるものなのか?
ハッシーが飛車を引き成ったところ
飯島「どっちがいいかまだわかりません、ねじり合いが続くと思います」

しかしハッシーが決断の一手を指す それはハッシーの指した駒音で聞き取れた
竜を切り飛ばしてしまう手、ハッシーは「パーン!」と音を立てて指していた

ここあたりを境に、ムードがハッシーに傾いていった
飯島「これは橋本がちょっといい局面になってくるのか、という気がしますね、三浦は踏みとどまれるか」

うーん、三浦も強さを見せろ、と私は思っていたが・・・
飯島「若干橋本が残してるのかな、三浦にとって厳しくなってきました」

ぐわー、三浦ピンチ、持ち駒の飛車2枚が使う場所がない
ハッシーの持ち駒はバラエティに富んでおり、使い勝手が非常に良い

ハッシーは抜かりなく、冷静に手を戻す手も指した
飯島「なるほど、これは橋本が勝ちに近づきましたね」

対局者の2人とも、かなりハイペースで飛ばして指してきたが、今は残りが双方1分ぐらいずつで、特にハッシーはちょうどいいペースで時間を使ってきたんだな

飯島「橋本は自信に満ち溢れてる顔に私は見えますね」
そして局面は、もうハッシーの押せ押せ、寄り切りを観るばかりとなった
飯島「これは橋本の会心の寄せが決まったと思いますね」

87手、ハッシーの快勝譜となった 投了図はけっこうな差が開いていた
終局直後のハッシー、かなりの笑顔になっていたね(^^;

飯島「戦型予想から全くちがっていたんですけど、本当に激しい序盤戦になって、新しい橋本八段の指し方というか、棋風が全く新しくなっている
そこが三浦九段もとまどったというかね、いいところが出し切れなかったというところが大きいと思いますね
三浦の陣形を乱してからの▲7五歩で橋本八段が攻めたのが印象的
そして橋本八段の受けがうまくいった
最後は差がついてしまったんですけど、素晴らしい名局だったと思います」

感想戦が17分ほどあり、ハッシーが「どこで良くなったのか、自分でもよく分かっていなんだけど」
ハッシーですらそう言うんだね、私にとっては特に難しかったわ
この△8五飛戦法というのは私の苦手のナンバー1戦法と言っていいからなあ

感想戦も観て、結局、三浦の△2八歩と△8八歩の相性が良くなかったんだと私は解釈した
モロに桂取りがダブっているからね どっちつかずになっちゃった

感想戦、2人は普通にやりとりしていて、別段、不自然なところはなかった
内容が高度すぎて私なんかは、ほとんどついていけなかった(笑)

ハッシーは快勝で、この内容なら相手が三浦ならずとも気分がいいところだろう
ましてや、もしハッシーは三浦に負けていたらまたあれこれ騒がれるわけで、勝ってよかったねえ
私はハッシーのファンでもあるんで、本来ならハッシーが勝ってうれしいはずなんだけど、今回は三浦にも勝ってほしかった
三浦が負けて3回戦進出がなくなり、関係者はほっとしているんじゃないだろうか(^^;
三浦が勝って3回戦で三浦の代わりにクマのぬいぐるみを置いて1時間半、雑談を放映っていうのが観てみたかった(笑)

感想戦が始まる前にも、最後の結果を言うときにも「この対局は9月19日に行われたものです」とテロップが出されていた
はあ~、こんなんでプロ将棋界が注目を浴びても悲しいだけだ・・・
三浦vs連盟、もう軟着陸は無理と思える現状、この騒動がどうなっていくのか注視していきたい