挑戦者決定戦
上田初美女流三段vs香川愛生女流三段
対局日:2016年8月30日
解説:郷田真隆王将
聞き手:甲斐智美女流五段

上田さんと香川さん、勝ったほうが里見さんとのタイトル戦3番勝負に出る。
上田さんは27歳、小学生から女流棋士ということで、この歳でもうベテランだ(^^;
香川さんは23歳、数年前までは無名だったのに、強くなったものだ。

郷田「上田は女流ではちょっとめずらしい、玉を固めてバーンと攻めるパワフルなタイプ。
香川も攻め将棋、簡単には負けないしぶとさが持ち味」

先手上田で居飛車、香川は早石田の対抗形になった。
2人のこれまでの対戦成績は上田2勝、香川4勝とのこと。
角交換から、2人とも早々に角を手放す。
持ち時間は25分で切れたら40秒未満というルール、まだ時間があるから、角を手放すのはもうちょっと考えたらどうかと思ったが、2人ともここらへんは気合いと思っているようだ。

聞き手の甲斐「2人と対戦すると、すごく主張のある手をぶつけられることが多くて」
それが女流の魅力だね。本局もさっそくお互いの主張がぶつかって、観ていて実に楽しい。
これ、郷田は名言は避けているが、ちょっと香川のほうが模様がいい序盤ではないか。

香川が自分の飛車を詰むのを放置して、詰ませてみろ、と上田に誘いかける。
上田はそれには乗らず、5段目に飛車を引く面白い手を指す。
中盤になっているが、ここまでくると、せっかくさきほどまで香川がリードしていたのが消えてしまっているような・・・。
香川、ひねりすぎたんじゃないかなー。有利になれそうだったのが、今ではすでに「五分のワカレで充分でございます」となってしまった感じだ。

手番が回ってきた上田が「ここは盤上この一手」と▲9五歩の端攻め。美濃囲いを攻めるときの急所だ。
「ビシッ」と指し、ここの手つきからは、上田の自信が伝わってきた。

そしてその9筋の折衝で、香川がはっきり「悪手」を指してしまった。
郷田「これは、上田が元気が出るね。上田優勢、指し手にも困らない。普通にやっていけばいい」
なんと、上田が飛車をなんなく敵陣のド急所に成り込むことに成功。
香川の美濃囲いはたちまち崩壊した。

郷田がもう終わることを予感して、「香川流の土俵際のしぶとさを見せてもらいたい」
うーん、でも上田陣が堅いし、駒も得してるし、手番も上田という、どうしようもなさそう。
もはや香川は「まな板の上のコイ」だ。 

が、ここからまさかの上田の迷走が始まる。郷田の解説がだんだん混迷になっていく形勢を告げる。
郷田「でも上田としても読み切れてないと危ないですけど」
郷田「上田はこれはちょっといまいちな攻め方、悪いわけじゃないけど」
郷田「香川としては頑張りがいがでてきたところも若干ありますか、うーん」

なんか、どんどん雰囲気があやしくなっていく。
そして上田、この雰囲気を一気に打破しようと、一発狙いの勝負手を放つ!
郷田「あー行きましたか、女は度胸で行きましたねー、気持ちいいですね」
ええーー 形勢絶対優勢だった上田のほうが勝負手を放つってか、おかしいな(笑)

郷田「上田はここまで流れが良くなかったですからね、まさか上田の竜と香川の自陣に居ただけの飛車が交換になるとは」

もうどっちが勝つか分からないギリギリの形勢に~。
自玉放置で敵玉に食いつきにかかった香川、手を渡された上田はどうする?
郷田「上田が詰めろをかけにいけばたぶん上田が勝つ・・・って、王手しちゃって。そっち打っちゃった」

上田さん、局面の作りにも運がなかった。王手していったものの香川玉が上部が開けていて詰まず、もう自玉も全く取返しがつかない。
郷田「これはけっこうな逆転になったかもしれないですねー」
116手、香川さんの大逆転勝ちとなった。 うわ、これはかなりひどい(^^;

終局後、開口一番、「ひどかった・・・」と言う上田さんの姿があった。

郷田「見所充分な内容、香川のミスを上田がうまくとがめて、一瞬のスキをついて、ハッキリ優勢にして、もう勝ちが目前だったと思うんですけどね。上田にとっては残念でしょう」

うーむ、香川さんの「飛車を成り込まれてしまったポカ」もけっこうなミスだったが、そこから勝ち切れない上田さん・・・。
ベースとなる部分はレベルが高いんだけど、やっぱり私は挑戦者決定戦として観てるから・・・。
正直、終盤は24の低段者の将棋を観てるようだった(^^; 
んー、ほぼ無条件と言って良いぐらいに飛車を急所に成り込んで駒得して手番を握って勝てないのか、あああーー 上田さん、これは悔やまれる~。でもこういうのも楽しいけどね。

ただ、私にはすでに観る前から勝敗が分かってしまっていたので、どっちが勝つかという意味では全くハラハラしなかった。
今回は「棋譜のレベルの高さ」じゃなくて「勝敗のゆくえ」を楽しむべきだったのに、それができなかった。
そこが残念だった。もうこの番組の宿命か。

あきらめなかった香川さんは称賛されるべきであり、「逆転の香川」「終盤の香川」というキャッチフレーズができそうだ。
「番長」のニックネームから取って、「逆転番長」がいいかもしれない。

終局後のインタビュー(要約)
香川「普段通り指そうと思いましたが、つい力が入ってしまって序、中盤は失敗したなと思っていました。最後は幸運でした。終盤はもうダメだと思いながら指していました。また番勝負に出れることが本当にうれしいです。胸を借りるつもりで挑みたいです」

香川さん、一瞬、涙ぐんでちょっと声を詰まらせてた。
もう私はタイトル戦の結果は知ってるのでどんな内容だったか、中身の濃い熱戦を期待。