佐藤天彦 名人 vs 山崎隆之 八段 NHK杯 2回戦
解説 羽生善治 三冠

若き名人と、ちょいワル王子の山崎という好カード。そして解説が羽生。

天彦は2006年四段、竜王戦は1組。8回目の本戦出場。
山崎は1998年四段、竜王戦は2組。16回目の本戦出場。

解説の羽生「天彦は序盤は研究熱心、攻守のバランスのとれた棋風。
山崎は独創的というか、力戦乱戦を好むタイプ」

事前のインタビュー
天彦「山崎八段は独創的な棋風と言いますか、序盤から人にはなかなか思いつかないような構想を披露されることが多いのかなと感じています。今回の相手も強敵ですので、あまり先のことは考えず一局一局大切にいつもどおり戦っていければなと思っています」

山崎「天彦名人は気持ちのいい将棋を指すイメージで、この2年ですごく駆け上がって、充実している。おおっ、っていう感じで見てました。厳しい戦いが続くと思うんですけど弱気にならずにぶつかっていきたい。ギリギリの戦いができたらと思っています」

先手天彦で、横歩取りの最新形となった。まあ、私は正直、またこれかと思った(笑)
羽生「山崎は最近後手番だと横歩取りを多用している」
2人の対戦成績は2-2のイーブンとのこと。      

角交換から山崎が△4四角と手放し、それに対応して天彦が▲3八角という自陣角。
先手はこんなところに角を打つものなのか。

お互いにどこから攻めるのか、模様の取り合いで、難しい。それもかなり難解。
羽生「角の筋が違うので、一手一手難しい」

考慮時間に差がつき、残りが天彦▲8回vs山崎△0回になった。
盤上の中段で戦いが起こる。
羽生「天彦の桂得が確定したが、陣形が天彦側は乱れているので、いい勝負」

ここまで大技がなかったが、山崎が一気に勝負をつけにいった手を指し、局面が大きく動いた。
羽生「あー、えー! これ手抜くもんなんですかねー、いやすごい踏み込みですね」

激しい駒の取り合いになり、これはどうなったのか・・・
羽生「形勢を言えば、ちょっと山崎のほうがいいような気がします」
おー、そうか、山崎、行け~。 ここに来て私は山崎を応援している、判官びいきというやつだ。

天彦玉をぐいぐい追い込む山崎、しかし天彦も勝負手を連発!
さすが名人、一筋縄ではいかない! 天彦ももう時間がなくなってきたが、よくここまで指せるものだと、実に感心させられる。
羽生「形勢ははっきり山崎がいいですけど、30秒だとまだまだ」

山崎に勝つ権利がありそうなのだが、羽生ですらまだ答えを見つけれていない。
中段をさまよう天彦玉は寄るや寄らざるや。
羽生「はっきりしないですね」
天彦の玉、実にしぶとい~。 ぬるぬるしていて、山崎の角と銀の攻めでは捕まりづらい~。 

そしてついに、羽生「これは逆転したんじゃないかな」
画面に大きくのけぞって、両手で頭を抱え込んだ山崎の姿があった・・・。 だめだこりゃーー(笑)
羽生「山崎は、決めそこなってしまったな、ということですね」

天彦のほうが攻める番になり、まだ一波乱あるかと思ったが、的確に天彦は山崎玉を寄せた。
119手、天彦の逆転勝ち。危ない辛勝だった。

羽生「非常に激しい将棋で、終盤、山崎が勝ちだったんですけど、ちょっと決めそこなってしまったかなあ。でも決め手を与えないように指してた天彦の粘り強さも光ったなあという感じ」

感想戦、山崎が勝ててたはずだが、どうやったものかという場面で、天彦が「こうやって保険をかけとけば」という言葉に、山崎が同意するシーンが見られた。
あれだけ天彦玉の周りに山崎の駒がまとわりついていれば、何かあっただろうね。
あああーー、山崎、残念だった。

天彦はそうとう危なかったけど、底力を見せたね。やはり名人だ。
天彦の勝負手連発が本局一番の見どころだったと思う。

ただ、一局を通して、難しい将棋だねえ(^^; 
横歩取りの最新形というのが、プロの研究の最先端で、もう難しくなる宿命と言えると思う。
NHK杯はファンに見てもらうことに価値があるので、その難解なものをアマが見て何割を理解できるかっていうのは、もうプロ将棋の永遠の課題だ。プロががんばって研究すればするほど、どんどんアマが理解しづらくなっていく。
羽生を解説者に持ってきても、序盤から一局を通して、難しかった。