斎藤慎太郎 六段 vs 佐藤康光 九段 NHK杯 3回戦
解説 久保利明 九段

先週一週間は、私はNHK杯以外、何もブログを更新しなかった。
どうも、私はもう将棋について言いたいことがなくなりつつあるような感じがしている(^^;
とりあえずNHK杯の記事だけは書いていきたい。

今週から3回戦(ベスト16)に入った。けっこうワクワクするものだ。ソフトが強くなったからと言って、まだプロも捨てたものではないだろう。人間の早指し王を決定するのがNHK杯だ。

斎藤は2012年四段、竜王戦4組、B2 NHK杯本戦は初出場
康光は1987年四段、竜王戦2組、A級 本戦は28回目

3回戦に入ったためインタビューがなくなったが、私は全然気にならない。
どうせウケを狙って話してくれる棋士はほとんどいないのだから。

解説の久保「斎藤は居飛車党の本格派で勝率が高く、これから伸びてくる新人の1人だと思います。康光は独創的な将棋で人気の高い棋士だと思います」

斎藤は、見かけが「3月のライオン」の主人公に似ていると思う。黒いメガネが似ているんだ。

先手斎藤で、角換わりの出だしから、康光が向かい飛車に振るという趣向。これ、康光は前にもやってたね。「△8五歩型向かい飛車」とでもいうべき戦型だ。斎藤はそれを予期していたのだろう、ミレニアム囲いに囲って、△8五歩を取るべく駒組みを進める。

将棋の戦法の変遷について、久保が語った場面があった。
久保「将棋は戦法が移り変わっていくんですけど、振り飛車は残って欲しいですね」
おお、久保はいいねえ、振り飛車党の希望の星だ。久保はまたA級に上がれそうだし。

さて、対抗形で▲ミレニアムvs△銀冠となり、斎藤が▲8五桂と行った~。私はこれが観たかった。先手としては、穴熊に組んだら、△8五歩をとがめたことにはならないだろう。やはり▲8五桂と行けるんだから、行ってみてほしいのだ。

すると康光、面白い構想を見せた。△8四銀! さらに△8三玉!
久保「私には指せません、康光の世界ですね。他の棋士にはマネできないでしょうね」
ぐあー、面白いけど・・・ 先手が強ければ、この康光の構想は通らないのではないか。 
ムチャミツ流が通るのかどうか、斎藤にかかっている。

久保「康光は自分は本筋を指してるつもりだ、といつもおっしゃってる」
△8四銀~△8三玉が本筋なのか? 面白いね(笑)
久保「斎藤がうまく指している」
うーん、斎藤が3歩持って、飛車角も働いて、攻めているぞ。8五の桂もタダでは死なない。
これ、後手側を持ちたいという人なんていないだろう。
康光、こんな形にしたらアカンやろ!?

斎藤の攻めが続く。康光玉は裸で、後手側は陣形が崩壊し、2枚落ちの上手のようになっている。
久保「斎藤が香得のうえ、と金得」
いいぞいいぞ、斎藤。こりゃー、斎藤、もらっただろう! ちゃんと寄せろよ~。

・・・しかし?? 康光の放った△9七歩という手裏剣の歩の一手に、斎藤が自陣に手を戻すことになる。
康光は玉を逆側にスラコラサッサと大脱走。
そして自玉の周りに金を打ち、囲いを再構築してしまった。
久保「このあたりが、なかなか崩れないトップクラスという感じがしますね」

そして形勢は混沌!
久保「斎藤は、ちょっと、ここで受けるのは予定外でしょう」
藤田女流「斎藤の深いため息が聞こえてきましたね」
久保「ちょっと誤算があったんだと思います」

康光玉、なんと2二まで逃げてきた。 8三に居た玉が2二で安定してる・・・(^^;

康光が自信を持って放ったのだろう、△5五角という手に久保の解説が面白い。
久保「これは詰めろになっている可能性が高い、30手ぐらいかかると思いますけど」
へえ~、感覚でそこまで?? 斉藤も危険を察知して、受けていた。

藤田「康光のすごい追い上げですね」
久保「厳密にいうと康光が良さそう」
おーーい、なんでだーー。どう見たって、斎藤が主導権を握っていたのに、立場逆転~。

お互いに攻めきれず、双方、玉が安全になってしまった。
久保「これはなかなか終わらないですよ、どちらも当分詰まないですから」
ぐあー(^^; 延長戦になってまいりました(笑)

先に技をかけたのは康光だった。竜を捨てちゃう! そしたら斎藤は竜を取らない!
でも、これ、結果論としては斎藤は竜をふつうに取ってたほうが良かったな。
久保「2転3転してると思いますね」
康光の猛攻の前に、斎藤が屈した。斎藤玉、詰まされた。ああー、斎藤、ふつうに竜を取ってれば・・・。
158手の長手数で、康光の逆転勝利となった。

久保「序盤はかなり斎藤が優勢だったと思うんですけど、途中、△9七歩という手があってそこから流れが康光のほうに来たかな。本当に大熱戦で面白い将棋だったですね」

ううううううううーーーーん。これ、序、中盤、斎藤がそうとううまく指してた。あとは康光玉を寄せるだけというところまで行ってた。
なんで、これ、逆転負けしちゃうかなーーーー。康光流の△8四銀+△8三玉を完璧にとがめた一局となるはずだったのに~。
康光としては、今回の内容では、今後は△8五歩型の向かい飛車はもう採用を取りやめになるんではないか? そう思える一局だった。

将棋としては面白かったけど、ベスト16だから、高いレベルを求めてる。
かなり差があるところから逆転しちゃうのは、うーんという感じだ。
悪くなってからの康光の技の数々が観れたのは、それは良かったけども。

斎藤のために、踊りを踊りたい。「どうしてこうなった! どうしてこうなった!」