村山慈明 NHK杯 vs 石井健太郎 四段 NHK杯 3回戦
解説 松尾歩 八段

また一週間ぶりの記事になってしまった。
村山と石井か。石井は2回戦でのタニーとの一局は鮮烈だった。相振りでタニーを、ド圧勝のボコボコにしていた・・・(笑)
松尾はベートーベンのような髪型をしている。なかなか良い。

村山は2003年四段、竜王戦3組、B2 7回目の本戦出場
石井は2013年四段、竜王戦6組、C2 本戦初出場

解説の松尾「村山さんは序盤の研究に定評がありまして、中終盤も地力があり強い。着実な手厚い将棋。石井はバランスのいい将棋、受けに定評があると個人的には思う。角道を止める振り飛車も指す」

例によって、もう3回戦ということで、インタビューはなくなった。
先手村山で、石井がノーマル四間に振り、▲居飛穴vs△高美濃の対抗形となった。
松尾「石井は指し慣れているし、研究もあるんだろう。村山は堅い玉形での指し方がうまいんですよね」

村山が角を切り飛ばし、中盤の折衝。ここで村山が優位に立つ。村山は大きな駒得に成功した。銀得だ。
松尾「村山はうまい飛車の取り方ですね、村山ペース」

石井はなんとかならんか、とばかりに端攻めに賭けるが、どうにも攻めが細そう。
石井の次々の勝負手を、村山が軽やかに受け流す。

そして、村山が5筋に突き出した歩、これが好手。村山は無条件で、と金作りに成功。
勝負あったと思われた。

しかし、ここから村山が迷走をしてしまった。
松尾「あれ?▲7一飛ですか。▲8二銀だと思いました」
激指14で調べてみると、▲8二銀と打っていれば+4000点もリードだったのに、▲7一飛で+2400まで下がっていた。
私はあんまりソフトを使いたくないが、ここは気になったので調べてしまった。感想戦もなかったし。

その後、長引いたのだが、元の作りが村山がそうとう良かったようだ。145手までで村山の勝ち。
最後のところも激指で調べたが、もうそうとう(+2000以上)村山が良かったとのことだった。

松尾「終盤に入ったあたりから、村山のペースが続いていたと思うんですけど、石井がうまく粘って村山としてもイヤな感じというかヒヤッとしたところもあったと思うんですけど、やっぱり村山らしく着実に、最後はしっかり勝ち切った。お互いのいいところが出たんじゃないでしょうかね」

うーむ、私としては、▲居飛穴vs△高美濃で、穴熊の暴力がまたしても炸裂した、ありがちな棋譜としか思えなかったorz
石井としては、中盤のワカレで穴熊を相手に、銀損してちゃ、アカンでしょう。
穴熊側が細い攻めをどうつなげるか、という将棋にしなくてはいけないのに、本局は振り飛車側が細い攻めになってしまった。
そして村山も、▲8二銀を逃してる。もうしょうがないのか。
勝つまでに145手もかかる将棋ではなかったと思う。勝ちきったのはさすがだけどね。

双方、好手と思えるところも数々あったのだけど、私にとって本局は疑問なところが目立ってしまった。

居飛穴側がノーマル振り飛車の美濃を相手に、その堅さを見せつけて勝つ・・・。そういうのはもう藤井システム以前に、散々見飽きてるんで、ノーマル振り飛車側を持つプロは、なんとかしてほしいと切に思う。