人工知能の核心 羽生善治・NHKスペシャル取材班 著 
780円+税 2017年3月10日 第1刷発行
評価 C コンセプト<羽生3冠が人工知能について解説してくれる>

棋書レビューです。
本の内容は、羽生さんが池上彰さんのごとく人工知能について解説してくれています。
本についている帯に、「人間にしかできないことは何か」 「羽生善治が、人工知能に向き合った!」とでっかく書いてあります。

タイトルが「人工知能の核心」だし、帯がそういうことを書いているから、私は「羽生さんが、やっと将棋ソフトと戦うことを決心したのか!?」と思ってしまいました。
しかし本文に、そんな記述は見当たりませんでした。
羽生さんの解説で「人工知能のこういう技術は、例えば、将棋ソフトにはこういう具合で使われている」という記述が多くでてきます。
だけど、なんで羽生さんは将棋ソフトと対戦してくれないのか。せっかく人工知能の話をしていても、説得力に欠けます。

「プロ棋士が人工知能に向き合った」と言うなら、どう考えても対戦は避けられないでしょう。
それを避けているから、どうにも恰好がつかないんです。
この本を読んで、正直、がっかりしました。
「羽生さんという人間にしかできないこと」、それは人類代表として人工知能と将棋を指すことではないでしょうか。
なんで羽生さんは人工知能の評論家になってしまったのか。将棋を通じて人工知能と対決するプレイヤーではないのか。

いつまでも羽生さんがタイトルホルダーで第一人者とは限りません。10年後、20年後を振り返ったとき、「羽生さんは結局、対戦しなかったな」と言われるより、「羽生さんはボロ負けしたけど逃げなかったね」と言われるほうが大事だと、私は思います。
チェスのカスパロフも逃げなかったから、今、尊敬されています。

将棋の最善の一手に今や一番近い存在である人工知能と、プロ棋士がどう関わっていくのか、それに私は注目しています。
この本の内容というよりは羽生さんの話になってしまいましたが、それもまた将棋ファンの一つの感想です(^^;