2017.05.14
千田翔太 六段 vs 藤井聡太 四段 NHK杯 1回戦
千田翔太 六段 vs 藤井聡太 四段 NHK杯 1回戦
解説 杉本昌隆 七段
将棋界のスーパーホープ、藤井聡太の登場ということで、今回は従来どおり、内容の模様と感想を書くことにした。
千田は2013年四段、竜王戦5組、C1 総合成績優秀により本戦にシード
藤井は2016年四段、竜王戦6組、C2 予選で浦野、北浜、竹内に勝ち 本戦初出場
解説の杉本「千田といえばコンピュータを活用した独自の研究、序盤戦術が印象的。
藤井はまだ14才なんですけど、大変落ち着いている。終盤が特徴で切れ味が鋭い」
事前のインタビュー
千田「藤井四段は各棋戦で勝ち上がっていて大局観が非常によく、なおかつ読みもものすごく深いと思います。前回はベスト8で敗れてしまいましたのでそれを超えられるようがんばりたいと思います」
藤井「千田六段はコンピュータ将棋に精通しており、既存の定跡や形にとらわれない力強い将棋という印象です。大変緊張しているんですけども、なんとか食いついて上を目指せるようにがんばっていきたいと思います」
先手千田で、初手▲7八金。これを見ても私はあまり驚かなくなった。そこから手が早く、角換わりの相腰掛け銀に進む。
先手は▲4八金+▲2九飛型。後手も△6二金+△8一飛型だ。
杉本「現在の主流はこうですね」
千田から仕掛け、▲5六角と筋違い角を打ち、局面が動いていった。藤井も受けに、自陣角の△4一角という手堅い受け。
ここらへんまでは前例があるようなことを、感想戦で千田が言っていた。
杉本「藤井は小1の頃から知っているんですけど、そのころから目を見張るような手を連発していました。棋力はアマ初段くらいだったんですけど。小4のときに奨励会入りしたときに、平手で指して、いきなり私は負かされてしまった」
小4でプロに平手で勝つ藤井聡太・・・ どうなってるんだ・・・
杉本「彼は詰将棋をびっくりするぐらい早く解きます。ちょっと難しい詰将棋を彼に見せたことがあって、時間がかかると思ってストップウォッチを私が取りに行ったら、私が戻って来る前に『解けました』と言われたことがありました(笑) 」
千田は1筋と9筋、両方の端を攻め、中盤に突入していった。
杉本「形勢判断の難しい将棋ですね、どちらが攻めているのか」
手が進むが、双方、まだまだ技がかからない。
杉本「急所が見えにくいですね、お互いの飛車があまり働いていない」
藤井の飛車は端に追いやられているものの、4段目に利く受け駒になっている。
そのせいで、千田は攻めあぐんでいる。
まだ中盤と言えるのに、考慮時間、両者残りが1回ずつになっていた。
千田は9筋の攻めにこだわっているが、こういうもんなのか? 藤井玉からはるか遠い9筋なんか手数をつかって攻めて、大丈夫なのか。
そして藤井に、うまそうな自陣桂が出る。なるほどな~と思わせる、力を見せた一手だった。
しかし杉本がまだ形勢判断がわからなそうなことを言っていた、その時だった。
千田が自陣の銀当たりを放置して、一気に局面を決めに行った! ▲8三とという攻めの手だが、成立しているか?
大量の駒がいっせいに当たり、いきなりものすごく激しくなった~!
が・・・! 駒の取り合いが進んでみると、千田の大損が確定している。これは・・・もう挽回不能では・・・。
で、千田、あきらめて投了! 90手で藤井の快勝となった。 急転直下、終盤がなかったといってもいい内容だった。
まだまだ続くと思っていたのに、あまりの急展開に、私は呆然となってしまった。おーい、藤井の終盤を楽しみにしていたのに(^^;
杉本「中盤が長い、難しい将棋だったと思います。千田の意欲的な指し回しだったが、藤井はそれに負けず落ち着いていた」
終局直後、千田「どこ間違えましたかね~、ひどかったですね~」
感想戦、千田は「藤井の端の4段目の飛車の形が、難敵、やっかいでした、それで齟齬(そご)が生じましたね」
さらに、千田「たぶん私が▲8三と、と指したときに『こいつは何やってるんだ』と(藤井が思ったはず)」
この一言は笑えた。
▲8三とが自爆手と言える手で、本局はあっという間に終わってしまった。
千田のレベルにしてみれば大悪手で、千田は後悔しただろう。観ていて私も残念だった。
感想戦によると、作戦的には、千田が押していたらしい。
ただ、千田に候補手が多すぎて、間違ってしまったという一局だったとのこと。
藤井のほうには、全体的に、これという疑問手はなかったようだった。端飛車と自陣桂という、いい手があった。
ただ、藤井の強さはまだまだこんなもんじゃない、終盤でのノータイム指しで一気に詰ませあげる技術、あれが観たい(^^;
2回戦も楽しみにしている。次は森内とやるのか。そのときは事前の勝敗ネタバレなしでやってほしいが。
解説 杉本昌隆 七段
将棋界のスーパーホープ、藤井聡太の登場ということで、今回は従来どおり、内容の模様と感想を書くことにした。
千田は2013年四段、竜王戦5組、C1 総合成績優秀により本戦にシード
藤井は2016年四段、竜王戦6組、C2 予選で浦野、北浜、竹内に勝ち 本戦初出場
解説の杉本「千田といえばコンピュータを活用した独自の研究、序盤戦術が印象的。
藤井はまだ14才なんですけど、大変落ち着いている。終盤が特徴で切れ味が鋭い」
事前のインタビュー
千田「藤井四段は各棋戦で勝ち上がっていて大局観が非常によく、なおかつ読みもものすごく深いと思います。前回はベスト8で敗れてしまいましたのでそれを超えられるようがんばりたいと思います」
藤井「千田六段はコンピュータ将棋に精通しており、既存の定跡や形にとらわれない力強い将棋という印象です。大変緊張しているんですけども、なんとか食いついて上を目指せるようにがんばっていきたいと思います」
先手千田で、初手▲7八金。これを見ても私はあまり驚かなくなった。そこから手が早く、角換わりの相腰掛け銀に進む。
先手は▲4八金+▲2九飛型。後手も△6二金+△8一飛型だ。
杉本「現在の主流はこうですね」
千田から仕掛け、▲5六角と筋違い角を打ち、局面が動いていった。藤井も受けに、自陣角の△4一角という手堅い受け。
ここらへんまでは前例があるようなことを、感想戦で千田が言っていた。
杉本「藤井は小1の頃から知っているんですけど、そのころから目を見張るような手を連発していました。棋力はアマ初段くらいだったんですけど。小4のときに奨励会入りしたときに、平手で指して、いきなり私は負かされてしまった」
小4でプロに平手で勝つ藤井聡太・・・ どうなってるんだ・・・
杉本「彼は詰将棋をびっくりするぐらい早く解きます。ちょっと難しい詰将棋を彼に見せたことがあって、時間がかかると思ってストップウォッチを私が取りに行ったら、私が戻って来る前に『解けました』と言われたことがありました(笑) 」
千田は1筋と9筋、両方の端を攻め、中盤に突入していった。
杉本「形勢判断の難しい将棋ですね、どちらが攻めているのか」
手が進むが、双方、まだまだ技がかからない。
杉本「急所が見えにくいですね、お互いの飛車があまり働いていない」
藤井の飛車は端に追いやられているものの、4段目に利く受け駒になっている。
そのせいで、千田は攻めあぐんでいる。
まだ中盤と言えるのに、考慮時間、両者残りが1回ずつになっていた。
千田は9筋の攻めにこだわっているが、こういうもんなのか? 藤井玉からはるか遠い9筋なんか手数をつかって攻めて、大丈夫なのか。
そして藤井に、うまそうな自陣桂が出る。なるほどな~と思わせる、力を見せた一手だった。
しかし杉本がまだ形勢判断がわからなそうなことを言っていた、その時だった。
千田が自陣の銀当たりを放置して、一気に局面を決めに行った! ▲8三とという攻めの手だが、成立しているか?
大量の駒がいっせいに当たり、いきなりものすごく激しくなった~!
が・・・! 駒の取り合いが進んでみると、千田の大損が確定している。これは・・・もう挽回不能では・・・。
で、千田、あきらめて投了! 90手で藤井の快勝となった。 急転直下、終盤がなかったといってもいい内容だった。
まだまだ続くと思っていたのに、あまりの急展開に、私は呆然となってしまった。おーい、藤井の終盤を楽しみにしていたのに(^^;
杉本「中盤が長い、難しい将棋だったと思います。千田の意欲的な指し回しだったが、藤井はそれに負けず落ち着いていた」
終局直後、千田「どこ間違えましたかね~、ひどかったですね~」
感想戦、千田は「藤井の端の4段目の飛車の形が、難敵、やっかいでした、それで齟齬(そご)が生じましたね」
さらに、千田「たぶん私が▲8三と、と指したときに『こいつは何やってるんだ』と(藤井が思ったはず)」
この一言は笑えた。
▲8三とが自爆手と言える手で、本局はあっという間に終わってしまった。
千田のレベルにしてみれば大悪手で、千田は後悔しただろう。観ていて私も残念だった。
感想戦によると、作戦的には、千田が押していたらしい。
ただ、千田に候補手が多すぎて、間違ってしまったという一局だったとのこと。
藤井のほうには、全体的に、これという疑問手はなかったようだった。端飛車と自陣桂という、いい手があった。
ただ、藤井の強さはまだまだこんなもんじゃない、終盤でのノータイム指しで一気に詰ませあげる技術、あれが観たい(^^;
2回戦も楽しみにしている。次は森内とやるのか。そのときは事前の勝敗ネタバレなしでやってほしいが。
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