2017.05.27 電王戦の総括
先崎九段の観戦記も掲載され、電王戦は一区切りついた。

電王戦とは、何だったのか。私のような一将棋ファンにとって、どういうものだったのか。

プロの指し手をはるかに上回るコンピュータ。それがパソコンを600台以上つないだもの、だったら、まだ分かる。
もう、スマホに負けると言われている。事実、渡辺竜王が「スマホでカンニングされてボロ負けした」と主張した。
この現実をどう受け止めればいいのか。

電王戦について、私が不思議だったのは、プロ側の思惑が、いつも「この目の前の一局に勝てば、危機は去る」という意識だった、ということだ。少なくとも、私の目にはそう見えた。プロは目の前のことしか考えていない。
私は「おいおい、どのみち、この先、コンピュータに負けるのは、確定事項なんだけど?」と毎回思っていた。
でも、ここには書かなかった。電王戦の興をそぐことになりそうだったんで。

ドワンゴの川上会長がからんでいるのだろうが、ルールで揉めたね。チェスも囲碁も、こんなに揉めたとは全く聞かない。
これから先も、歴史上のこととして、延々と、将棋連盟の往生際の悪さが語り継がれることになるんだろう。
羽生三冠は結局、いまだに戦わないままだ。羽生三冠がもっと早く出ていれば、三浦九段への冤罪事件も無かったのではないか?と思える。もっと早く連盟がコンピュータへの対策をしただろうから。

でも私はドワンゴはよくやったと思う。PVがこんなに面白いものだとは知らなかった。

まあー、私はぶっちゃけ、プロに対する尊敬の念が薄まった。それも、かなりの度合いで。
プロどうしの対局は人間ドラマだというが、それを言うなら、女流でも子ども名人戦でも、縁台将棋にだって人間ドラマはあるのだ。それとプロの対局、どう違うというのか。「プロは悪手率が若干、低い」ぐらいか。

最後の終わり方も私にとってはショックだった。名人がまともにさせてもらえたのは序盤の駒組みだけだなんて・・・。
あんなにカッコいいと思っていたプロ棋士たちが、こんなにボロボロになるなんて・・・orz
「スマホに勝てないプロの先生」って、それどうなのよ。だれか助けてくれ。

「コンピュータとの戦いで負けたからって、全く関係ない」と言い切れる将棋ファンを、私はうらやましく思う。

電王戦がこれでいったん終わるが、これでコンピュータ戦が終わるとは私は全く考えていない。
だって、設備としてはパソコンもスマホも、すぐそばにあるものなんだから。
将棋には駒落ちというハンデもあるんだし、まだ私の興味は尽きない。

電王戦は2012年から始まり、あっという間だったように思う。毎年春の行事として楽しく過ごさせてもらった。
AIの発達により、プロの権威が落ちて行く様を、目の当たりにした。
それはファンとして哀しい中にも、少々の可笑しさがあった。
面白かったよ、ありがとう電王戦。この棋戦を私は忘れないだろう。