銀河戦 本戦Eブロック 10回戦
藤井聡太七段 vs 阿久津主税八段
対局日:2019年4月19日
解説:大石直嗣七段
聞き手:伊藤沙恵女流二段

銀河戦に藤井聡太が登場! 前回の行方戦から、私は感想を書くことにしたのだ。
前回は行方に何もさせずに圧勝した藤井聡太。今回はどんな将棋を見せてくれるのか、ワクワクだ。
藤井はここまで5人抜きしていて、すでに決勝トーナメント進出を決めている。
藤井は2018年度、45勝8敗。阿久津は2018年度、12勝19敗とのこと。
解説の大石「藤井はデビュー当時から華々しい成績を上げていて、もっともっと上を目指したいという気持ちが伝わってくる。阿久津はいつもより気合いが入っていそう」
阿久津、そうとうひきしまった表情をしている。

先手藤井でいつものように居飛車。後手阿久津はなんと坂田流向かい飛車の作戦を採った。
大石「阿久津が後手番なのでこの戦法はあるかなと思っていた」
めったに見られない作戦で、こりゃ、見ものだ。
大石「坂田流は飛車先を逆襲する楽しい戦法。藤井は過去に糸谷戦でこの戦法を迎え撃っている。藤井は相手にどんな戦法で来られても柔軟に対応している印象がある」

両者の慎重な駒組みの時間帯。角を打ち合い、2度目の角交換になり、ちょっと藤井は手得した。その後、藤井は角が成り込んで香得を果たす。藤井がポイントを上げていくのがわかる。こりゃー、もうもらったか?
が! 阿久津が9筋の端から反撃を見せた。9筋は先手から攻めようとしていたのに、後手から攻めてくる順があったなんて。
対応を間違えたら一気に後手が有利になるぞ。
大石「景色が変わってきましたね」 
阿久津もやるなあ。ハラハラ、見ていて楽しい。

藤井が苦戦かと思われる局面まで現れた。これは熱戦だ。
大石「一手違いになりそう」
藤井、まだリードしてるのかもしれないが、ちょっとのミスも許されない。細いロープを綱渡りして勝ちまでたどりつけるのか?
大石は形勢をなかなか言わないな(^^;

・・・もう終盤で、だいぶ来たが、駒の損得は藤井の香得のみ。あの角が成り込んで取った香得、それが残っている計算だ。
寄せあいに入った。残り考慮時間、▲1回vs△1回。
大石「局面は先手が良さそう」
手が広く並の棋士ならまだ不安だが、藤井なら、きっとここから大丈夫・・・!

で、藤井は竜をぐるっと回して相手の桂を取った。駒得重視か?
が! 実はそれが詰めろ! 大石が気づかなかった長手数の詰み筋だった。数えたら17手詰み!
105手で藤井の快勝。やったーー。やっぱりつえええええーーー!

大石「藤井の序盤からのポイントの積み重ねかたが素晴らしかった。阿久津の逆襲にもうまく対応した見事な勝利。どんな戦型にも対応するところを見せた」

感想戦では、阿久津「この作戦は力が要りますね。最後ちょっと難しくしたかなと思ったけど、終始悪かったですよね」
藤井にはもっと確実にリスク少なく勝つ手があったようだ。
阿久津「安全勝ちはオジサンの手なんで、本譜のほうがスッキリしてていいですね」

いやー、これは満足満足。藤井の強さを阿久津が十全に引き出していた。序盤から一手一手、双方に無駄がなく、息が詰まる、密度の濃い内容で、見ていてすごく楽しかった。たしかに藤井は勝ったが、まったく楽はさせてもらってない。ミスが許されぬ状況下で、きっちり最善を指し続ける藤井聡太。そして最後の寄せの鋭さは圧巻だ。阿久津が面白い戦法を採用したこともあり、見てて楽しかった!実に良かった!藤井にも阿久津にも、プロの技を堪能させてもらった。

次の藤井の相手は三冠の豊島。楽しみだが、高度すぎてついていけなくなりそう(^^; また一か月後を待とう!