霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
1回戦 第6局 山口恵梨子女流二段 vs 北尾まどか女流二段
対局日:2019年4月9日
解説:北島忠雄七段
聞き手:山田久美女流四段

山口えりりんと北尾まどかの対決。どちらも有名だが、将棋を指しているのを見るのは私は初めてかもしれない。
この女流棋士たちの実力はどんなものなのか。楽しみな一戦。

山口は通算97勝95敗。解説の北島「山口は明るくて聡明。周囲を笑顔にする」
北尾は通算97勝134敗。北島「会社の経営者としての顔も持っている。エネルギーがすごい」

事前のインタビュー
山口「女流王将戦は持ち時間が短いので、その時の自分の調子がわかる。北尾さんとは最近当たってないので未知の領域」
北尾「本戦入りは今回初めてで楽しみ。山口さんは普段はとてもかわいいが将棋はパワフル」

先手山口で、ゴキゲン中飛車。北尾が居飛車で、相穴熊となった。双方4枚で囲い、ガチガチだ。
駒組みを40分もやっていた・・・orz 相穴熊の序盤を40分観るのはキツイ。

歩がぶつかり中盤へ。北島「ここは振り飛車の腕の見せ所」
北尾、うまくさばけるか? 双方、順当な手が続く。北島「形勢は互角、2人ともうまく指している。いい勝負です」

山口が攻めていく展開で、鋭い銀の踏み込みを見せた。これには北島も称賛。北島「あ、そういう攻め方ですか~ なるほど、山口流でしたね!」
うむ、なかなか魅せる。しかし疑問手も指す山口。
北島「今の山口の手は、うっかりすると一手パスになる手。手の流れがどうだったか。強気で攻めていたのに受けに回ってしまった」
北尾が調子に乗って攻めてくる。北尾が快調。山口、攻めが切れそう。穴熊の姿焼きになりそう。
山口の飛車も角も遊んでいるからだ。
北尾が着実にポイントを稼いで、これは北尾の勝ちムードが盤上に漂った。
しかし! 山口が遊んでいた角を活用(8八の角を▲9七角)。もうそれしかないという勝負手だった。山口が強引に攻めたところ、北尾が受けでミスをしてしまう。北尾はわざわざ守りの金が玉から離れていく順を選んでしまった。なぜだー。受けきりまであとちょっとだったのに。

山口がついに後手陣を突破。北島「でも簡単に決まるということでもないですね」
ここからまだ長いか? 難しい終盤だ。ところが、北尾、またも受け間違い! この2回目のミスは痛恨だった。はっきり悪手。
山口に次の一手のような両取りをかけられてしまった。
北島「これはきれいな技ですねー。飛車と馬の両取りですもんね。実戦でこんな攻めが決まるとは」
ぐああー、北尾、モロに金一枚、丸損。そしてそうなってしまうと負の連鎖が止まらない。
あっというまにどんどん駒損が拡大。

山口の穴熊まだまだ鉄壁。王手が全くかからない。北尾の穴熊はもう跡形もなく崩壊した。
詰まされるまで指して北尾は投了した。127手で山口の勝利。最後は大差がついたが、内容的には辛勝だった。

北島「北尾の受け間違いが悔やまれる。山口はいい辛抱を重ねた。中盤では北尾が良くなっていたと思うが山口が崩れずにがんばった」

局後のインタビュー
山口「序盤でちょっと攻め方を失敗したが、▲9七角と使えてからはうまくさばけた。しかし課題が残った一局」

これは好勝負だった。山口としてはかなり気持ちいい勝ち方。一時は抑え込まれ模様で完封負けもあると思われたが、遊んでいた飛車と角が結果的に大活躍したのだから、うれしい勝利だろう。たしかに課題は残ったが。
北尾は残念だが、力は発揮したのでもうしょうがない。
もっとレベルが低いのかと心配していたが、どうしてどうして、なかなかの内容で私としては充分面白かった。
北島さんの解説は今回はとても的確と思えたし、山田さんの聞き手も安定感抜群で、楽しめた。

両者の実力が知れたので収穫だった。あの電王戦で現役プロ(佐藤慎一)が初めて負けたとき泣いていたえりりん。
将棋もけっこう強い。これからも聞き手としてどんどん出てほしい。
北尾さんも私はとても尊敬している。北尾さんなくして、どうぶつしょうぎとカロリーナ女流は誕生しなかった。

来週は渡部 愛女流王位 vs 藤井奈々女流1級。渡部は注目だし藤井奈々というのも、もうここでしか見れないというぐらいの人なんで楽しみだ。