霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
1回戦 第8局 伊藤沙恵女流三段 vs 上田初美女流四段
対局日:2019年5月23日
解説:飯塚祐紀七段
聞き手:鈴木環那女流二段

本戦トーナメント1回戦(ベスト16)の最後の一局。実力者どうしの対戦。
伊藤は通算100勝43敗。解説の飯塚「伊藤はよく勝っていて大活躍中。棋風は居飛車党の受け身」
上田は通算265勝153敗。飯塚「切れがあり評価が高い。居、振り両方指す」

事前のインタビュー(要約)
伊藤「上田は常に高い勝率を上げている。育児と両立している、優しい先輩」
上田「伊藤は手厚い将棋で充実している。前に出る将棋を指せたらいいと思う」

先手伊藤で、変則的な出だしとなった。伊藤は居飛車なのだが、上田がなんと「無敵囲い」に囲うという趣向を見せた。
これには飯塚もびっくり。無敵囲いとは、居玉のまま中飛車にして両側の銀を飛車の横に上げる囲い。
上田さん、何かのギャグだったのか・・・(^^;

さて、局面進んで、▲居飛車vs△中飛車の対抗形に落ち着いた。玉形は似ていてお互いに軽い囲い。
伊藤のほうから早繰り銀で積極的に攻め、その銀をあっさり捨てて、代償に相手の桂を取りながら飛車を成り込んだ。
これは伊藤が指しやすいのかなと思ったが、飯塚「形勢は互角」

まだ中盤が続く。上田が角を切って中央から殺到する筋を狙っていたのだが、その狙いを阻止する手が伊藤に出た。
手駒を使い手堅く受ける手だった。飯塚「あ、それはいい手ですね。伊藤の受けが光っている。上田は困ったかも」

ここではっきり差がついた。伊藤の抑え込みが大成功。飯塚「困ったんじゃないですか、上田さん」
上田は歩切れで、いつの間に歩も損してしまったのだろう。
カンナ「上田は逆転の名手で、投了するまで油断できない怖い相手」
うーむ、そうは言うが、雰囲気的に、もう差が開いていくだけのような・・・。上田は駒損も広がっていく。

飯塚「伊藤が着実に押し込んでますね。伊藤の完璧な指し回しです」
伊藤は実に安定していて、心配することなく見ていることができた。
97手で伊藤の快勝に終わった。

飯塚「伊藤が速攻で銀を出て、成った飛車を引いて、手厚く指した。上田としては技を封じられて残念だった。伊藤は強かった。ノーミスだったと思う」

感想戦で上田「角筋を止められてダメになったと思った」
上田は早い段階で持ち駒の銀を陣形整備に投入して、銀多伝の形を作って手厚く指すべきだったということだった。
本譜は中盤で上田の駒がバラバラになってしまった印象だった。

局後のインタビュー 
伊藤「中盤くらいからだんだんと形勢を良くできて押し切れた」

伊藤が力の差を見せつけて快勝。伊藤の受けの棋風がよく出ていた内容で、伊藤の充実ぶりが発揮された一局だった。
来週からベスト8に入る。