霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
2回戦 第2局 加藤桃子女流三段 vs 甲斐智美女流五段
対局日:2019年6月11日
解説:近藤誠也六段
聞き手:中村真梨花女流三段

さあ、2回戦(ベスト8)の好カードが続く。実力者どうしの対戦。
▲タイトル8期のカトモモ24歳vs△タイトル7期の甲斐36歳。
解説の近藤「加藤は力強い攻めの鋭い居飛車党。甲斐は振り飛車党で丁寧で重厚」

事前のインタビュー
カトモモ「甲斐は腰が重い、落ち着いた将棋を指される。甲斐は何でも指されるので戦型が絞れないのが悩み。一局を楽しみたい。全力でぶつかりたい」
甲斐「加藤はきびきびした将棋を指される。序盤も研究熱心で中終盤も強い。加藤のような強い方と指せるのでいい将棋を指したい」

過去の対戦成績はカトモモの2-0ということだ。
先手カトモモで、相居飛車の力戦になった。▲矢倉早囲いvs△雁木での右玉という戦型。

近藤「雁木は3年くらい前から大流行している。コンピュータの影響で、悪くない戦法だと見直された。バランスがいいということ」
局面が煮詰まり、飽和状態に。後手の甲斐は手待ちを繰り返す。
番組開始から44分が経過している。歩の交換しかないこう着状態。
近藤「スローペースですね」 ・・・正直、早回ししてここから観てもいいと思う(^^; 私はこのブログのために全部観てるけど。

私には全然仕掛け方がわからなかった。だが、カトモモから強く開戦していった。7筋から仕掛けて、7七の銀を攻めに使うのか。なるほどな~。ここはすごく参考になった。
小競り合いが続き、カトモモは9筋の端攻めもして、ペースをつかんでいるようだ。
近藤「これは面白くなりましたね」 ・・・え~?もうカトモモがリードしてるように私には見える。

甲斐も反撃に転じる。甲斐の力の見せ所だ。
近藤「甲斐は耐えて長期戦に期待している」
んー、甲斐の玉形、3段目の玉のすぐ下に飛車が居て、ものすごく悪い形だ。
カトモモの角のにらみが強烈で、ビシビシ攻められている。甲斐ピンチ。耐えろ、甲斐!

手筋を駆使し、どうにか形勢を保つ甲斐。近藤「バランスが取れている。後手の辛抱が実ってきている」
熱戦だ。粘れ、甲斐! しかし、いかんせん、甲斐は玉形が悪すぎるのと、飛車角が使えてない。
手数が長くなってきたが、相手のカトモモが、鋭い手を連発し、逆転する気配が全く無い。ぐうう~。
カトモモ、なんという落ち着きっぷり。まったく乱れない。

カトモモが自陣の飛車を使ってきた。懸命に受ける甲斐。そこでカトモモが飛車を見捨てて、一気の寄せに出る。
近藤「ここは加藤は決め時です、ただし私にはどうすればいいか分かってません」
ここでカトモモ、近藤を上回る手の見え方で、キッチリと仕留めた。131手でカトモモの快勝となった。

近藤「これは大熱戦でした。加藤が先攻してペースをつかんだように見えたが、終盤は甲斐が良くなっていてもおかしくなかった。
最後は加藤の鋭い寄せだった。飛車を逃げなかった手が印象に残った」

局後のインタビュー
カトモモ「お互いに渋い指し手が続いたと思います。お互いに粘っていた。なんとか最後、勝ち切れた。次戦の西山との対戦は楽しみ」

不動駒が先手の1九香と、後手の2三の歩の2枚だけ。あとの駒はすべて動いた好局だった。甲斐はさすがの粘りで熱戦の棋譜を作った。
しかし、だ。私の判断だと、甲斐にチャンスは回ってきてなかったのでは。ずっとカトモモがリードしていたんじゃないかな。
カトモモの安定感たるや、すごいものがあった。40秒の秒読みなのだが、ミスする気配がなかった。甲斐も最善の粘りをしていたと思うのだが、長手数を見事にカトモモが乗り切っていた。実に強い・・・。奨励会での鍛えを存分に見せていた。私の事前の期待どおりのレベルの高い内容で満足だった。

甲斐の右玉だが、戦法自体の苦しさがよく出ていた。右玉側が手待ちしている間に、相手に万全の体制を敷かれてしまうのは作戦として苦しい。
そして、戦いが始まると右玉側はずっと受け身で、何が悪かったかよくわからないまま、特に疑問手を指した覚えもないのに、攻め続けられて負け。うーん。まあ、マイナー戦法というのは、こういう宿命なのかもしれない。

カトモモなら西山に対して、いい勝負ができそうだ。準決勝のカトモモvs西山が今から楽しみだ。
来週は渡部 愛女流三段 vs 山口恵梨子女流二段。えりりんがどこまで食らいつくか?