霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
2回戦 第3局 渡部 愛女流三段 vs 山口恵梨子女流二段
対局日:2019年6月20日
解説:中村 修九段
聞き手:高浜愛子女流2級

囲碁将棋チャンネルで、毎週土曜に放送されている番組。
2回戦(ベスト8)の第3局。この前まで女流王位だった渡部愛(わたなべまな)に、山口えりりんがどこまで迫るかというのが見もの。

解説の中村修「渡部は今一番充実している、人気も高い。山口は攻めが鋭い印象、普及面でとても活躍している」

事前のインタビュー
渡部「山口女流は居飛車と振り飛車、両方指して、攻めが鋭い」
山口「渡部女流は格上、とても強い。準備してきたことをぶつけたい。序盤で崩れないようにしたい」

開始時に、テロップで「対局時間が大幅に伸びたため一部編集してお送りします、ご了承下さい」と出た。
長期戦を覚悟して私は観ることになった(^^;

先手渡部で居飛車、後手山口は角道オープン四間飛車にしてから5筋を突いて中飛車に戻すという、謎の作戦。
こんな作戦があるのか? 解説の中村修も驚いていた。
持久戦になり、駒組みが飽和。▲居飛車の4枚穴熊vs△中飛車の銀冠。中村「振り飛車のほうが作戦勝ちの雰囲気」

どうも、渡部は堅めすぎたようだ。穴熊に潜って金銀4枚を守りに使ったのだが、攻める手がわからなくなった様子。
山口から開戦。渡部としては、細心の注意が必要な中盤。ここで攻めが切れたら穴熊は姿焼きの危険がある。
そんなところで、渡部は6筋の拠点を突き捨てて、2筋に手を回すという、まったく謎の行動に出てしまった。
拠点を一方的に放棄した渡部、ここで大損した。中村「形勢はかなり山口に針が触れますね」
駒損が拡大していく渡部。大ピンチに陥った。

手が進む。中村「このくらいの差では勝ち切るのはまだまだ」
そうは言っても、山口の駒得だし、かつ大駒の働きが大差。後手の山口の圧倒的な形勢。

中村「山口の完封勝ちになる可能性も」
渡部は竜を自陣に引っ張ってきて、粘ろうとしたのだが、その竜が狙われ、ついには詰まされてしまった。
もうこの時点で、気の早い男子プロなら、投げていたと思う。

しかし渡部は粘った。渡部は持ち駒に桂3枚という、最低な組み合わせだったが、どうにか3枚を盤上に使い切り、角で攻めていく。もう不利は決定的なのだが、「間違えたら許さん」という勝負手を繰り出していく。その様はかなり見ごたえがあった。

が、いかんせん、大差すぎた。そして、山口が手数を長引かせても優位を保つという方針のもと、逆転を許さなかった。
長くかかったが、182手で山口えりりんの勝ち。ふうーーーー(^^;

中村「山口がうまく押さえこむ形で攻めた。と金を作って優勢になった。しかし渡部が途中から力を出した。逆転ムードかなと思ったが、大熱戦になった」

局後のインタビュー
山口「自分より棋力が高い相手だったので、王様の堅さを重視して指そうと思っていました。
女流棋士になって10年以上経つんですけど、ベスト4になれたことが今まで1回もなくて初めてなのでとてもうれしい。次はしっかり準備して前を見てのぞみたい」

この一局は、ぶっちゃけ、えりりんがうまく指したという以前に、渡部の中盤がまずかった。
4枚穴熊に囲って攻めに失敗したので、攻めが切れ模様でずっと戦うハメになってしまい、粘るばかりの展開になってしまった。
穴熊の堅さのせいで終局までが長引き、182手になった、という一局だった印象。
もちろん、えりりんの急所をはずさない強さも、堪能できた。ただ、相手が西山やカトモモだと今回のようにはいかないだろうと思う。
渡部さんとしては残念な内容となってしまった。長い終盤で棋力の高さは伝わってきたのだが、さすがに差がつきすぎていた。

来週は、ベスト8の最後の一局。伊藤沙恵女流三段 vs 井道千尋女流二段。勝ったほうがえりりんと対戦する。