将棋界の不思議な仕組み プロ棋士という仕事
青野照市著 創元社  2016年10月20日第1版第1刷発行 1400円+税
評価 A コンセプト<プロ将棋界周辺の知識をたっぷり紹介>

よくここまで情報を詰め込んで書いてくれたという感想です。充実した内容。
ひとつの質問につき見開き2ページで、答えてくれています。95個もの質問の数です。
どれも納得のいく回答がほとんどで、青野さんは常識のある人だと思いました。

(でも、本書が発行された2016年10月といえば、あの忌まわしき事件が起こりました。その後、青野さんは理事を解任されました。「疑わしきは罰せず」という常識は、青野さんには無かったようです。残念でなりません)

印象に残ったところをいくつか。
P61 Q プロになれなかった奨励会員の第2の人生は?
A 私の弟子のS君は、勝っても負けても退会という三段リーグの対局で、初手を1時間考え、なにも指さずに投了して去っていった。誰にも挨拶なしにである。マナーとしてはよくないが、私はそういうことより、ただひたすら<自殺などするなよ>の思いだった。
・・・ここは重くて、読んでいて気が落ち込みます。

P78 Q 棋士のふだんの勉強法は?
A プロ同士の練習将棋では、賭けるということではなく、負けたほうが勝ったほうに授業料を払うというやりとりがあった。
・・・ここはかなり笑わしてもらいました。言葉使いを変えただけで賭けてる(笑)

P196 Q 本で勉強するのと実際に指すのでは、どちらが強くなる?
A これはズバリ、両方同じくらい時間をかけてやらないと、バランスの悪い将棋になるおそれがある、と回答したい。
・・・これは当たっているでしょうね。

誤字などの箇所
P15 × 取った石の数で勝敗を争う囲碁   〇 囲った地の数で勝敗を争う囲碁
P77の(カッコ)の中でパーセンテージを表したところ、羽生と森内の勝率の差が0.08パーセントという書き方だが、これはおかしい。そんなに少ないはずがない。
P155 × 渡辺竜王とポナンザ戦  〇 ボナンザ戦