NHK杯 2回戦 稲葉陽 八段 vs 里見香奈 女流五冠
解説 千田翔太 七段 聞き手 藤田綾 女流二段

里見の登場ということで、またNHK杯の感想を書く。1回戦の高崎戦では、高崎の猛攻を見事にしのいで快勝した里見。
今回はどうなるか。相手はバリバリ強豪の稲葉。

稲葉は竜王戦1組、A級、7回目の本戦出場。里見は2回目の本戦出場。

解説の千田「稲葉は軽快な棋風なんですけど終盤粘り強く逆転勝ちも多い。里見は軽快な棋風でなおかつ鋭い攻め味で終盤も緩みなく指す」

事前のインタビュー
稲葉「里見には10年前に一度、公式戦で負かされている。大変な強敵」
里見「稲葉はトップ棋士でA級の大変強い棋士。自分の力を精一杯出し切りたい」

先手稲葉で、対抗形になった。持久戦となり、▲銀冠穴熊vs△中飛車+高美濃。
8筋で歩の交換があったのだが、稲葉は▲8七歩と打ち、穴熊を強化する順を選んだ。
手堅い・・・。稲葉の守りの銀は▲9七銀という変わった形になっている。
この▲9七銀の形をとがめられるかというのを、千田がずいぶん言っている。

里見の飛車は向かい飛車から中飛車に落ち着いたのだが、△2二飛~△3二飛~△3一飛~△5一飛と、だいぶ手数がかかっている。そして1筋も突いてパス1回。個人的には里見側も銀冠まで囲いたかったけど・・・。

戦いが起こり、里見が桂損したが、里見の駒は中央に使えている。
千田「後手に不満があるようにも見えない、微妙な局面」
里見、がんばって~。しかし、手数が進み、千田「ちょっとこのあたり後手が損している」

長い中盤、稲葉が飛車を成り込んでどうなるかと思われたところ、稲葉に妙手が出た。
成り込める飛車を引いて守りに使う、柔軟な発想の一手。
千田「あ、なるほど。こういうのが冷静なんですね」
ぐあ~、これで里見からの早い攻めがなくなってしまった。稲葉、いじわるしないで攻め合ってくれよ~。

その後、稲葉が駒得できるようになり、差が開いてしまった。里見は最後は詰めろをかけるのが精一杯。
▲9七銀型の稲葉の穴熊、充分に堅さを発揮した。123手で稲葉の快勝となった。あ~あ。

千田「序盤で里見が若干先手の陣形を崩してポイントを得たと思ったんですけど、▲9七銀と悪形にしたけどその形をうまく崩せなかった。稲葉の指し方が巧みだった」

・・・里見はボロ負けではないけれど、特にこれといったチャンスもなく順当負けという表現が合っていると思う。
んー、A級棋士の壁は高かったか。稲葉の飛車を受けに使った手で、あれでしびれてしまったなあ。
やはり後手も序盤で銀冠まで囲いたかった。▲9七銀型をとがめるのは、コンピュータならできるんだろうけどね。

里見といえば、今、男子プロに「いいところ取りで10戦以上で6割5分」に近くなっているが、今回の負けでちょっと遠のいてしまった。これからも里見の対男子プロの勝敗には注目していきたい。