霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
準決勝 第1局 西山朋佳女王 vs 加藤桃子女流三段
対局日:2019年7月16日
解説:金井恒太六段
聞き手:北尾まどか女流二段

現役奨励会三段の西山が登場。相手は元奨励会初段のカトモモ。大注目の一戦。
特に西山はここまでの2局、まったく相手を寄せ付けず、圧倒的な勝ち方を見せてくれている。

西山は女流棋戦通算、41勝17敗。今期女流王将戦本戦トーナメントは竹部、石本に勝ち。
カトモモは女流棋戦通算成績、67勝28敗。今期女流王将戦本戦トーナメントは頼本、甲斐に勝ち。

解説の金井「西山は振り飛車党で複数の種類を使いこなす。終盤の切れ味と、途中から一気に抜け出す力を持っている。
カトモモは居飛車党。序盤の研究が深く、安定した指し回しでは女流トップ」

事前のインタビュー
西山「加藤さんとは何度か対戦がありますが、最新形を非常に勉強されていて、鋭い攻め将棋という印象。大一番ですがいつもどおり指せるように平常心で挑みたい」

カトモモ「西山女王は昨年女王を取られて今年も防衛されたばかりですごく充実されている。西山女王は振り飛車党で力戦もすごく好きだと思いますので、私もうまく対応していきたいと思います。精一杯自分ががんばるだけ。私はいのしし年なので一生懸命、走りぬきたい」

この2人の対戦成績は、西山から見て3-4だそうだ。しかし西山が現在3連勝中とのこと。

先手西山で中飛車で対抗形に。カトモモの対策は、なんと引き角からの斜め棒銀だった。鳥刺しとも呼ばれるやつだ。3一の銀をどんどん上げていき、積極果敢に仕掛けていった。玉の囲いはお互いに2~3手しかかけておらず、薄い。
戦いが始まったが、金井は形勢判断を迷っている。難しいということか。

カトモモの銀、8六まで来たはいいものの、そこで立ち往生になってしまった。
カトモモの飛車は動きを止められているし、引き角は今一つ働いていない。何を指すのか、手広くてとても難しいところ。
そんなとき、カトモモ、決断の△9七銀成! そうか、引き角が9七まで利いているからか。これは思い切った!
金井「うわー、その手を指すんですね」 あの穏やかな金井も叫ぶ(笑)
3一からはるばる来た銀、ついに△9七銀成か。6手をかけた、まさにカトモモの命運を握る銀だが、果たして?

が、西山にあっさり「その手は通じません」とばかりに対応されてしまった。
金井「西山の手、早かったですね、待ってましたと」
カトモモの虎の子の銀は、西山の金との単純な交換になり、西山にとっては向かい飛車が8筋突破できる絶好の形となった。
カトモモ、大損!! 作戦、大失敗! ぎゃあー(^^;

そして、西山の手が伸びる。次のカトモモの一手は絶対△5二飛というところ、西山が▲5三歩と垂らしたのが、当然ながら好手。キラリと光る手筋の一着だった。
カトモモ、根性でがんばれ~、まだ粘れ~と応援する私。
しかしカトモモは最後の勝負手を逃し、あっさりと土俵を割ってしまった。
89手で西山の圧勝となった。 西山は相変わらずの早指しで、持ち時間を4分も残していた。(持ち時間25分)

金井「加藤は意表の引き角からの急戦。それに対して西山がうまく対応して、中盤、手筋が2発、3発と冴えわたって、終盤は少し余裕をもってゴールした」
聞き手の北尾「西山の強さが光りましたね」
金井「西山にとってこの準決勝は関門だったと思うが、快勝と言える強い内容だった」

感想戦で、カトモモが、あの△9七銀成と攻めたのを悔やんでいた。「(形勢が)ひどいことに気づきました。ひどいですね、これ」
6手かけて銀を進めたのに、結果は相手に逆用されて飛車先を突破されてしまうという・・・。
金井は西山の▲5三歩も称賛。うむ、ツボを突いた好手だったね。

局後のインタビュー
西山「加藤さんが新しい構想を見せられて、それに対応する形でしたけど、未知の将棋だったんでドキドキしながら指してました。今回はうまく対応できたかなと思っています。次戦も今から楽しみです。平常心で挑みたい」

カトモモ、自分から攻めて潰してやるという意識が強すぎたのが敗因と思う。そんな単純にいかないのが強いもの同士の将棋だろう。攻め急いでしまった。いのししのように走り抜けたいと言っていたのがアダとなったか。そして残念だったのが、最後に勝負手を逃してあっさり負けてしまったところ。
感想戦が終わる直前でも最後のところ、問題になっていた。もっと粘ってほしかったな。
西山は「ドキドキしながら指していた」というわりに手が異様に早い。強いとしか言いようがない。
カトモモなら西山が相手でも接戦に持ち込むだろうと思ったが、大差がつき、そこは残念だった。

番組がだいぶ早く終わり、余った時間で詰将棋を流していた。
準決勝の第2局は、伊藤沙恵vs山口えりりんだが、もうどちらが来ても西山は勝つだろう。負ける姿が想像つかない。
タイトル戦は西山vs里見が濃厚。今から楽しみだ。