NHK杯 2回戦 藤井聡太 七段 vs 久保利明 九段
解説 杉本昌隆八段 聞き手 藤田綾女流

NHK杯に藤井聡太がまたもやお目見え。前回登場したのが先々週。
相手は銀河戦で当たった久保。そこでは久保に負かされているので、ここは藤井はリベンジぜひしたいところだろう。藤井聡太、いけええーー。

藤井聡太は2012年奨励会入会、2016年四段。竜王戦4組、C1。3回目の本戦出場。
久保は1986年入会、1993年四段。竜王戦1組、A級。24回目の本戦出場。

解説の杉本「藤井は2016年デビューということで、まだ3年しか経ってないんですね。早指しも強いので楽しみ。居飛車の本格派。久保は振り飛車という戦法が苦戦する中、振り飛車で活躍が光る」

先手藤井で、いつもの居飛車。後手久保はノーマル四間飛車。持久戦模様で角交換が行われ、こう着状態になっている。
杉本「最近、藤井と会う機会が減っている。藤井が忙しいのか、遠回しに会うことを断られているのか(笑)」
そんな雑談をしていると、手待ちで藤井は金を左右に、久保は玉を左右に動かし、なんと千日手に~。
あら~、藤井、先手番だったのに、仕掛けることができなかったか。うーん、まあ経験値の差か・・・。
杉本「久保の作戦がうまくいった」

さて千日手指し直し局。先手久保で、なんと立石流に! これはB級戦法ではないのか。
藤井の対策が注目されたが、特に工夫がない。銀冠で△4二金型なのが工夫といえばそうだが。

藤井が何も策を出さないと、すごい単純な飛車交換を狙われて不利になりそう、と思われたところ、藤井が自陣角を打って打開していった。筋違い角だし、あんまり良さそうな手とは私には思えなかったが、しょうがないか。
考慮時間の残り、久保▲9回vs藤井△5回と、ちょっと差がついている。
杉本「振り飛車が充分」

しかし、藤井も只者(ただもの)ではない。1筋の端に活路を求め、戦いを拡大していった。
まだやれるぞ、藤井、いけええーー。
そして、もう戦いが広がっているというのに、今頃になって飛車先を突破しようと△8六歩と突く!
杉本「すごい手が来ましたねー。間に合うかどうかギリギリ。久保としては行けるとみてるでしょう」
そ・う・た! そ・う・た! 心の中で藤井を応援している私(笑)
この△8六歩、間に合うか?? 久保に天使の跳躍と呼ばれる桂の跳ね出しを許しており、状況は難しい。

さらに久保が1筋の端を逆襲してきた。げっ・・・。
杉本「端は後手(藤井)が攻める場所と思ってたけど、先手(久保)から攻めるんですねえ」
ううっ、どうなる? 形勢も次の一手も全然わからなくなってきた。
杉本「本局も中終盤のねじり合いになりそうですね。後手(藤井)陣は金銀がバラバラでいかにも危ない。形勢はどうなんでしょうか」
おいおい、形勢を言ってくれよ(^^; 観てるこっちにはもっとわからないんだから。

すると、だんだん藤井が本領を発揮してきた! 美濃を崩す△4八歩! 攻防の△2五角!
杉本「藤井のしぶとい指し回しですね。これは久保がいいとは言えない気がしてきました。藤井がいっぽ抜け出したかも」
そして藤井は、成れる飛車を成らずに違う手を指す。さらに、さきほど打った△4八歩を成り捨てて、2度目の△4八歩と打つ!
杉本「(手の意味が)難しすぎて説明が・・・できません(^^;」
さすが藤井聡太、他のプロたちにできない事を平然とやってのけるッ。そこにシビれる!あこがれるゥ!

だが久保も並のプロではない。底歩を打って、藤井の竜を遮断し、端から逆転の一撃を狙っている。
藤田「どちらが速いかですね」
考慮時間がお互い▲0回vs△0回に! いよいよクライマックス!
決めに出た藤井、どっちが読み勝っているんだ??
杉本「大変な局面になりました。どうなってるんでしょうね」
ぐあー、ドキドキドキドキ!

藤井が攻める、しかしなんか変調・・・? 攻撃のカナメの馬を引かされるようでは、おかしい??
久保のなんという凌ぎだ、これ、久保玉、寄るのか??
杉本「さすが久保の終盤力ですね。藤井は、もう久保玉を詰ますしかないが」
一瞬、藤井の頭がガクッと下がった。そして苦悶の表情を浮かべる藤井。形勢がモロに表情に出てる・・・(笑)
王手ラッシュを続けたが、明らかに駒が足りない。 久保玉は助かっている。あああー、これは・・・ 勝負あり・・・。
137手、藤井が投了を告げた。 ああああああああああああ・・・ 藤井聡太が負けてしまったーーー。

杉本「終盤の入り口は藤井が良かったと思う。そこからの久保の粘りが素晴らしかった。端から逆襲してクルっと体を入れ替えたのが素晴らしかった。藤井には少し残念だった」

うーーーーーん、藤井、最後の寄せに出た場面、手順前後とかそういうミスがあった感じだ。
駒損して馬を作って攻めたのに、また馬を引かされるようではおかしかった。
ただ、見ごたえ充分な、これぞ将棋の醍醐味っていう勝負だった。
最初は久保の作戦勝ちから、藤井が力を見せて逆転模様、そして最後はまた逆転で久保勝ちという内容だったと思う。
藤井にも久保にも、プロならではの手がたくさんあって、すごく充実した内容だった。とっても面白かった。
ひとつ、今後のことを思えば、藤井は立石流に対しての対策をもっと練ったほうが良いだろう。

藤井、これで銀河戦に続き、久保に往復ビンタを食らってしまった。痛い。
これで銀河戦でもNHK杯でも藤井が負けていなくなり、里見もNHK杯で負けていなくなり、折田アマも銀河戦で負けていなくなり、これから私は何を楽しみに生きていけばいいんだー。
「藤井ロス」の心境がもう私に広がっている。あああー。アッチョンブリケ。