今回は、私は将棋の指導者に対して、一つ言わせてほしい。
それは、「矢倉囲いを初心者に勧めるのはやめてくれ」ということです。
矢倉はあまりにも手数がかかりすぎる。調べたらわかりますが、居飛穴や振り穴よりも手数がかかる。
数え方にもよりますが、ざっと手数は、矢倉は13手。居飛穴は12手。振り穴は12手。
13手もかけて囲っている間に、相手は好きなように駒組みしてくるわけです。
矢倉は上部からの攻めに強いと言われますが、左美濃急戦で攻められたら、つぶされる。
その攻め方だけでなく、色々な急戦策が相手にはあるわけで、矢倉側はそれにすべて対応しなければなりません。正直、矢倉戦法というのはドMが採用する作戦だと感じています。

初形から考えて、▲8八玉の位置が悪いということもあります。8八は後手の飛車の利きと角の利きに入ってくるわけですから。
また、角を引いて使うことになりますが、それもまた矢倉戦法を高度にしている原因です。角は居角でそのまま使うほうが簡単に活用できます。
以上のように、将棋を始めたばかりの初心者に、矢倉を勧めるべきではないのです。
カニ囲いを教えて、その発展の一例として矢倉囲いというのもあるよ、という、それくらいの触れ具合でいいのです。

さらに言うと、「矢倉」と「棒銀」を同時に初心者に教えるのは本当にやめていただきたい。
矢倉は持久戦を目指す戦法で、棒銀は急戦の戦法です。作戦として方針が違うんです。
上級者は矢倉で棒銀も指しますが、それは全体のバランスを取りつつ指すからできる高度な芸当なんです。
「囲いは矢倉」で「攻めは棒銀」 ・・・持久戦なのか急戦なのか、矛盾した作戦で、初心者には最悪の組み合わせだと思います。
「カニ囲い」+「棒銀」、または「舟囲い」+「棒銀」、こっちのほうを教えるべきです。
初心者が矢倉に組んでつぶされるなら、居玉のまま棒銀で攻めたほうがマシだ私は思います。

初心者に矢倉を勧めている例として、囲碁将棋チャンネルでやっていた、遠山プロの講座。藤田女流の講座。
マンガでは「ひらけ駒!」で、駒の動かし方もあやうい初心者であるママが、矢倉囲いを覚えようとしていた。
ジャンプの「ものの歩」の主人公も「矢倉」を中心に戦う戦術を取った。終盤が得意なら、もっとすぐ激しくなる作戦を選べばいいのに。序盤が長い矢倉を採用したら作戦負けになるのに。

矢倉囲いが有名だから、という理由だけで、指導者は初心者に矢倉を教えている。安直なんですよね。
この風潮は変えていかねばならないと思います。 以上、私からの提言でした。