2人「どーもー、よろしくお願いしますー」
右「・・・今、ミノフスキー粒子を戦闘濃度散布していただきました。これでレーダーは無効ですからね。どうもありがとうございます」

左「ちょっといきなりですけどね、ウチのオカンはアニメのガンダムが好きなんです。それで、好きなガンダムシリーズがあるって言うんですけど、その名前をちょっと忘れたらしくて」
右「好きなガンダムシリーズの名前を忘れてしもうて。どうなってるんや」
左「色々と訊くんやけど、全然わからへんねんな」
右「ほな俺がね、オカンの好きなガンダム、どのガンダムか一緒に考えてあげるから。どんな特徴を言うてたか、教えてよ」

左「主人公の男の子が、名前をバカにされたぐらいで、軍人相手に殴り掛かるっていうねん」
右「それはZガンダムや。主人公のカミーユは、女の名前と勘違いされたぐらいで、ティターンズの軍人をぶん殴ってしまうんや。高校生がヤクザを殴ったようなもんや。カミーユは相当に危ない奴やで。これが第1話やから、視聴者もびっくりや。もうわかったやん」

左「俺もZガンダムやと思ったんやけどな、オカンが言うには、シャアがモビルスーツ戦ですごく強いって」
右「じゃあ、Zガンダムとは違うか。ファーストであれだけ強かったシャアが、大苦戦の連続なんや。ファーストで通常の3倍のスピードだったはずが、Zでは見る影もない。一年戦争から7年の間に赤い彗星にいったい何があったのか。百式でメガバズーカランチャーを発射するときがかっこいいのが救いや。もうちょっと詳しく教えてくれる?」

左「オカンが言うには、アムロとシャアが手を組むのが、観てて最高にうれしいって」
右「それはZガンダムの名場面やな。軟禁されてニート状態で苦しんでいたアムロを、シャアが勇気づけて、アムロを復活させるんや。ファーストから観てる人には、胸が込み上げるものがあるな」

左「それで、オカンが言うには、話が短くて簡潔やって」
右「そしたらZガンダムとは違うか。Zはとにかく話が長くて難解や。ファーストでは地球連邦軍vs独裁国家ジオン軍という、わかりやすい構図やった。それに対し、続編のZガンダムでは、地球連邦軍の一部のエリート軍人の集まりであるティターンズと、ティターンズの暴走を阻止せんとするエゥーゴの戦いなんや。要は地球連邦軍の内部分裂の話で、こんなん、子供向けとは全く言えんで。ロボットアニメというよりも政治色が濃いし、はっきり決着しない攻防が、延々と全50話の中で繰り返されるんや」

左「オカンが言うには、宇宙空間でモビルスーツが変形する意味がわからんって」
右「それはZガンダムや。Zに出て来るモビルスーツの特徴や。大気圏を突破するときには、確かに変形する意味もあると思う。でも、宇宙空間専門のメタスやらハンブラビやらメッサーラは、何のために変形するんやろな?まあかっこいいから、ええけども」

左「でもオカンが言うには、シャアの変装が巧妙やったって」
右「じゃあZガンダムとは違うか。あんなん、名前をクワトロに変えて、サングラスをかけただけ。変装と言えるレベルじゃないで。今ならスマホの顔認証でも同一人物とわかるレベルやで。他に何か言うてなかったか?」

左「オカンが言うには、主題歌が別格に名曲やって」
右「それはZガンダムや。ファーストの『翔べ!ガンダム』が作られたのが1979年。Zの『水の星に愛をこめて』が1985年。たった6年でアニメソングが劇的に進化したのがわかるなあ。今でも『水の星に~』は、まったく色あせておらん。この曲が流れただけでファンには感涙ものや」

左「でもオカンが言うには、『アニメじゃない』っていう主題歌の歌詞がストレートすぎて、ずっこけたって」
右「じゃあZガンダムとは違うか。というか、それは続編のZZガンダムや。ダブルゼータが一番アニメっぽかったのは皮肉な話や。でも後半の主題歌『サイレント・ヴォイス』とエンディングソングの『一千万年銀河』は素晴らしい曲やったな。あれでZZという作品が救われてたわ」

左「オカンが言うには、最終回の盛り上がり方が半端じゃないって」
右「それはZガンダムや。カミーユたち、シロッコ、ハマーンの三つどもえが、一気に対決するんや。今までの停滞はなんやったんやと思うくらい、話も進む。この第50話、最終回では名シーンと名言が盛りだくさんや。時間がない人は、この最終回だけを観るという手もあるくらいや。名言で俺が好きなのは、シャアがカミーユに言った『君のような若者が命を落として、それで世界が救えると思っているのか!』やな」

左「でもオカンが言うには、最後はハッピーエンドやって」
右「じゃあZガンダムとは違うか。とにかく人は死にまくるし、テレビ版のカミーユのラストシーンは、今でも伝説になってるわ」

左「オカンが言うには、カミーユが最終回であんなことになってもうて、その後シャアが絶望して地球に隕石を落とす事につながった経緯がよくわかる、っていうねん」
右「だから、それはZガンダムや!もうカミーユって言うてもうてるやん!物語はZだけでは完結せず、ZZガンダム、そして逆襲のシャアへと続くんや」

左「オカンが言うには、2005年に作られた劇場用3部作も大好評やったって」
右「それは・・・『機動戦士Zガンダム A New Translation』やけど、大好評ではなかったな・・・。1985年当時のテレビ映像と、新しく描いた映像を組み合わせて作ったため、違和感がありすぎたんや。話も前後のつながりが悪いし、俺は正直、がっかりしたで」

左「でもオカンが言うには、Zガンダムではないと」
右「じゃあZガンダムではないかー。それを先に言えよ。俺が最終回のシャアの名言を再現してるとき、どう思ってたんや」
左「でもオトンが言うには、マジンガーZと違うかって」
右「いや、絶対ちゃうやろ!どうもありがとうございましたー」