2人「どーもー、よろしくお願いしますー」
右「・・・今、昔のNHK杯の再放送を観させていただきました。名局は何回観てもいいですからね。どうもありがとうございます」

左「ちょっといきなりですけどね、ウチのオトンは将棋が趣味なんです。それで、将棋がかなり好きでハマってるんやけれども、自分がまだ一般人の範囲か、それともすでに将棋オタクなのか、知りたいから、誰かに判別をしてほしいって言うんですけど」
右「将棋オタクかどうか、誰かに判別をしてほしいと」
左「色々と訊いてきたから、判定をよろしく頼むわ」
右「ほな俺がね、お前のオトンが将棋オタクかどうか、一緒に考えてあげるから。どれほど将棋にハマってるか、教えてよ」

左「オトンが言うには、NHK杯を毎週欠かさず観てるっていうねん」
右「ほな将棋オタクとは違うなあ。それぐらいじゃあ、一般人よ。自分で指さなくてもNHK杯は観てるっていう人も多いんやから。もうちょっと詳しく教えてくれる?」

左「加藤一二三の伝説を5つ以上、知ってるっていうねん」
右「それは将棋オタクや。ひふみんの伝説は、長すぎるネクタイ、旅館の滝がうるさいから止めさせた、明治のチョコレートを10枚いっぺんに平らげた、相手側に立って盤を見るひふみんアイ、生涯棒銀一筋、A級在籍中なのに21連敗、近所の野良猫にエサをやって住民たちに訴えられた、まだまだあるで。ネットにまとめサイトが複数、作られるぐらいや。5つ以上言えるならオタクやろ」

左「オトンが言うには、『聖の青春』を読んで感動したっていうねん」
右「うーん、それは将棋オタクとは言えんで。一般人や。『聖の青春』は名著で、将棋ファン以外でも、誰が読んでも面白いんやから。オタクというからには、『将棋の子』『真剣師・小池重明』『泣き虫しょったんの奇跡』『われ敗れたり』『オール・イン』『介護士からプロ棋士へ』これぐらいは全部読むのが必須やで。他に何か言うてなかった?」

左「オトンが言うには、買ったけど読んでない定跡本が10冊以上あるっていうねん」
右「それは将棋オタクや。将棋を本格的に趣味にすると、とにかく本が増えていくのよ。戦法には流行があるから、次々に新しい定跡本が出版されるんや。だからついつい欲しくなる。それで買ったはいいけど、読むヒマと気力がないから、積読本がどんどん増えていくのよ。お金もかかるし、何より置き場所に困るんや。所蔵本が100冊を超えると、目当ての本をどこに置いたか、探すのにも苦労するんやから」

左「オトンが言うには、『りゅうおうのおしごと!』にドハマりしてるっていうねん」
右「うーん、それは将棋オタクとは言えんで。一般人や。アニメと小説、どっちも最高の出来で、大人気で大勢のファンがおるんやから。燃えと萌えをテーマにしたストーリー、そしてキャラクターが抜群に面白いんや。俺もハマってもうて、ドラマCDを全部そろえてしもうた。Amazonでプレミアがついてたけど、買ってもうたわ」

左「オトンが言うには、ネットに羽生結弦の記事が出てるとき、思わず羽生九段の記事か?と反応してしまうっていうねん」
右「それは将棋オタクや。フィギュアスケートの『はにゅう』と将棋の『はぶ』を読み分けるとき、常に『はぶ』が先に思い浮かんでしまう。もう将棋オタクの宿命や」

左「オトンが言うには、2012年からの電王戦も観てて、プロとコンピュータ、どっちが勝つかとても面白かったっていうねん」
右「うーん、たしかに面白かったけど、それは特に将棋オタクとは言えんで。もうすでに『あから2010』の時点でトッププロを超えてたと俺は思っとるから。それでつい最近、現役の奨励会三段が、水匠というソフトに二枚落ちで負けてしもうた。個人的に『水匠ショック』と俺は呼んでるわ」

左「オトンが言うには、将棋倶楽部24のアカウントを、居飛車用と振り飛車用の2つ持ってるっていうねん」
右「ほな将棋オタクやんか。24のアカウントは『携帯電話をお持ちでない場合は登録できません。一つの携帯電話番号に一つしか登録できません。』となっているため、なかなか新規にアカウントが取りにくい。でも、ハンドルネームが2つ欲しい場合もあるわけや。俺は24では友達が増えて、けっこう有名人になってしまったため、お忍びで対戦しにくくなった。それでもう一つ、ハンドルネームを持ってるわ」

左「オトンが言うには、藤井聡太の勝負めしをチェックしてるっていうねん」
右「うーん、それは将棋オタクかどうか微妙や。デビューから29連勝のとき、藤井聡太が何を食べたか、連日、お昼のワイドショーで取り上げられてたんやから。あんなん、よくニュースになると思ったで。正直、豚キムチうどんであろうが、冷やし中華であろうが、どうでもいいと思うんやけど。コロナで大変な今から思えば、あのときは平和やったと思うで」

左「オトンが言うには、矢倉の24手組みを暗記してるっていうねん」
右「それは将棋オタクや。そんなん、ちゃんと知ってるのは、かなりなマニアやで。初手から▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩・・・と続くんや。矢倉は91手定跡というのもあるくらい、定跡の宝庫なんや。近年では若手プロが『矢倉は終わった』なんて言って話題になったけど、最近また復活しつつあるな」

左「オトンが言うには、ネットの『将棋ワンストップ』というサイトを毎日チェックしてるっていうねん」
右「それは将棋オタクや。そのサイトは将棋界の色んなニュースやツイートがまとめられてて、わかりやすく知ることが出来るんや。ただし、羽生の奥さんが連日のようにウサギの写真をアップしてるから、ウサギも大量に見ることになるけどな」

左「オトンが言うには、詰将棋パラダイスを、解けもしないのに、どんな本か知るために一冊持ってるって」
右「それは将棋オタクや。本人はせいぜい5手詰ハンドブックレベルなのに、詰パラがどんな本か興味あるのはオタクに決まりや」

左「オトンが言うには、将棋ソフトのためだけに、高性能なパソコンを購入してるっていうねん」
右「それは将棋オタクや。機械オンチでろくに性能も引き出せないのに、激指の検討モードを高速で動かしたいために、高いパソコンを持ってるんや。藤井聡太がAMD派なのを知って、自分もIntelから乗り換えようかと考えてるのが将棋オタクや」

左「オトンが言うには、囲碁将棋チャンネルに加入して、『めざせプロ棋士』で奨励会員の棋譜までチェックしてるって」
右「それはどう考えても将棋オタクや。けっこう重症やで。奨励会の級位者の棋譜にまで目を通すようになったら、気を付けたほうがいいで」

左「オトンが言うには、タイトル戦のときなんかには、将棋会館まで解説会を聞きに行ってるって」
右「だから、それはもう完全に将棋オタクや。解説会のマニアやな。俺も大阪に住んでたときは40回以上、行ったで。特に話術のバランスが取れてうまいのは井上先生。そして福崎先生が調子に乗ったときなんて、お客は笑いが止まらず最高やったわ」

左「でもオトンが言うには、自分は将棋オタクではないと」
右「じゃあオタクではないかー。本人がそう言うんなら、それでいいんとちゃうか?本人が楽しんでれば、それが一番や」
左「でもジイちゃんが言うには、末期の将棋オタクやって」
右「うん、俺もそう思うで。どうもありがとうございましたー」