(この記事はフィクションです。実在の番組・人物とは関係ありません)

ナレーション「将棋を題材に五・七・五。第5回を迎えたプレバト将棋川柳、今回でついにFINAL。果たして、結果はー?」

浜ちゃん「今回も将棋をテーマに川柳をよむという番組になってます。川柳ですので季語はなくてけっこうです。句をよんだ後に、才能アリ・凡人・才能ナシの3段階に分かれます。FINALですが、いつものように査定には、なつい先生に来ていただいております。じゃあさっそく行きましょう。まず最初はこの句から」

作品その1
・疑問手に 悪手で返す ヘボ将棋

浜ちゃん「先生ー、これは?」
なつい先生「超ありがちな光景ね。これ、あまりに典型的な句なんで、過去になかったかどうか、ネットで調べたんだけど、ないみたいね。句として平凡だけど、その分、汎用性が高い。しょっちゅう使える句ね。そういう意味で才能アリ」
浜ちゃん「よーし、この調子で飛ばして行こう」

作品その2
・相振りを 恐れて振れぬ 居飛車党

なつい先生「これもあるあるね。居飛車党あるある。居飛車党としては、たまには対抗形の振り飛車側を持って指してみたいんだけど、相振りになったときにどうしていいか、全くわからないのよ。羽生や森内なんかが、ごくたまに相振りになって、指しこなしているのを見ると、まさに天才だなと思い知らされるわね。でも、句としては・・・うーん、惜しくも凡人。才能アリっていうほどでもないかな」
浜ちゃん「あー、もうちょっとか。でもいい感じやぞ」

作品その3
・切れ負けで ハメ手に負けて ブチ切れた

なつい先生「まあー、これもあるあるね。特に将棋ウォーズの3切れとか。有段者が5手爆弾とか平気でやってくるんだもん。でも慣れるしかないわ。句としては才能は感じない。才能ナシ」
浜ちゃん「先生、直しは?」
なつい先生「ハメ手には定跡が天敵。定跡を勉強し直しなさい」
浜ちゃん「ちょっと査定が厳しくなってきたな。次で挽回や」

作品その4
・浜省を 流して 香一本強く

なつい先生「これは面白いわ。ネットで指すとき、BGMでお気に入りの曲を流してる人も多いんじゃないかしら。この人の場合は浜田省吾なのね。『悲しみは雪のように』とか、『MONEY』とかが聴こえてくるようよ。この句のいいところは、上五に各自が好きなアーティストを入れれば、いくらでも応用が利くところよ。例えばビートルズでもいいし、長渕でもXでも何でもいける。この句は才能アリ」
浜ちゃん「BGMに着目した点が斬新やなあ。よし次や」

作品その5
・独房で ネット将棋に ハマりたい

なつい先生「これね、気持ちは伝わってくるわ。もう一生、引きこもって将棋だけ指して過ごしたいっていう。たしか、将棋世界の編集後記で編集者がこんなことを書いていたわ。でも刑務所でネット将棋なんて許可されるはずがないっていうね。ストレートで私はこの句は好き。才能アリまであとちょっと、厳しいけど査定は凡人」
浜ちゃん「先生、直しは?」
なつい先生「全うに生き直しなさい」

作品その6
・桂がとび やるぞ やったあ カツラとび

なつい先生「これはもう、いわずもがな、佐藤紳哉の芸よね。ニコ生なんかでは温かく受け入れられるのがお約束になってる。だけど、ワイドショーでこれをやると、コメンテーターたちがドン引きすることがあるのよ。一般人に向けてこれをやるのは賭けよね。体を張った、もとい、頭を張った一発芸ね。私は紳哉のサービス精神には敬意を表するわ。でも句としては凡人よ」
浜ちゃん「先生、直しは?」
なつい先生「どうにかして髪を生やし直せればいいんだけど・・・」
浜ちゃん「それは今の医学では無理やなあ」

作品その7
・渡辺の 顔は魔太郎より 魔太郎

なつい先生「これは面白い句よ。渡辺がデビューした若い頃、ニックネームが『魔太郎』だったの。藤子不二雄のマンガ『魔太郎がくる!!』が元ネタ。すごい似てたもんだから、渡辺自身が『似てる』と認めたくらいだったの。でも、今や魔太郎よりもさらにオデコが広くなり、もう魔太郎どころじゃなくなってるの。奥さんが描いてる『将棋の渡辺くん』というマンガを見れば一目瞭然。オデコが顔の3分の2を占めてるんだから。句として才能アリね」
浜ちゃん「先生、渡辺の顔の直しは?」
なつい先生「棋士の顔は個性的であればあるほど楽しいわ。直しはいりません」

作品その8
・解いてみろ 父が薦める 森信雄

なつい先生「これは微笑ましい句ね。薦められた側が迷惑をこうむってる様子が伝わってくるわ。森信雄といえば、『あっと驚く三手詰』や、変則詰将棋シリーズや、難解な次の一手を得意としてる。しかもマニアしか解かない難度の問題ばかり。そんな問題を、解けと薦められたら、たまったもんじゃないわよね。あっはっは。家族円満のために、がんばって森信雄にチャレンジしてね。この句は才能アリ」
浜ちゃん「おお、さすがFINAL、またも才能アリ。最後までこの調子で!」

作品その9
・▲7六歩 △3四歩 ▲6八銀 あっ

なつい先生「これは斬新。わずか3手で一局を表現してる。矢倉党あるあるよね。まあ誰でも一回はこの道を通るのよ。ちなみに▲は先手、△は後手を表すんだけど、発音はしないわ。だからこれは17音に収まってる。革新的な句で、才能アリ」
浜ちゃん「おおー、こんな句は今までなかったもんなあ。なつい先生も、ノッてきてるで」

作品その10
・タイトル戦 どうせ 西山 対 里見

なつい先生「ちょっと!句の是非がどうか以前に、こんなことを言うもんじゃないわよ!そりゃ、みんな薄々、そうなるんじゃないかなー、と思って観てるんだけども。奨励会員の西山は2019年度、参加が許された女流棋戦3つで全てタイトルを獲っちゃった。それ以外の4つを保持してるのは里見。それが実状だけど、大人の日本人なら、忖度っていう言葉を覚えなさい。思ってても、言っていいことと悪いことがあるんだから。でも句としては良くできてる。悔しいけど才能アリ」
浜ちゃん「先生、これは直しは・・・?」
なつい先生「この2人以外の女流を鍛え直しなさい」
浜ちゃん「残り、あと二句?じゃあ有終の美を飾ろう」

作品その11
・将棋とは オカンが言うには 時間泥棒

なつい先生「これは厳しい句が来たわね。たしかにマニアは膨大な時間を費やしてる。私も将棋は時間の吸い取り紙だと思うわ。いくらでも指し続け、観続けられるからね。でも、私にとって将棋とは、自分の治療なの。将棋に関わることにより、病んだ精神が修復されていく感じがするの。科学的に証明されてないけど、適度に将棋を楽しむことは絶対に脳に癒しの効果があると私は確信してるわ。この句は一般人の普通の認識で、凡人ね」
浜ちゃん「先生、直しは?」
なつい先生「私はこれからも将棋に心を治してしてもらうわ」
浜ちゃん「いよいよラスト、ちょっと変わった句らしいです」

作品その12
・それも一局 はてしない物語

なつい先生「これは五・七・五でなく、破調の句というやつね。これは恐るべき句よ。将棋では、感想戦で『こうやればどうだったかな?』『それはまた別の将棋で、それも一局ですね』というやりとりがしょっちゅうある。『はてしない物語』というのは、児童文学の傑作でファンタジーの金字塔なの。『ネバーエンディングストーリー』という映画にもなったわ。その『はてしない物語』で、頻繁に出て来るフレーズが、物語の本筋から反れた際に『これは別の物語、いつかまた、別のときに話すことにしよう』という言葉で、それで話が本筋に戻るのよ。まるで感想戦の『本譜に戻しましょう』という表現とうりふたつ。この句は2つの言葉だけで、将棋と文学が持つ無限性をいかんなく表現しきっている。素晴らしい句ね。文句なく才能アリ」

浜ちゃん「おおー、先生、大絶賛や。すごいのが来たなあ。十二句中、七句も才能アリ!FINALにふさわしい終わり方やったと思うわ。みなさん最後までお付き合いいただいて、感謝やで。またいつか機会があればお会いしましょう。ではではさようならー」

ナレーション「これにてプレバト将棋川柳、完結!また会う日まで~」
(この記事はフィクションです)