第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 1回戦 第4局
室谷由紀女流三段 vs 藤井奈々女流初段
2020年4月8日
解説:塚田泰明九段
聞き手:香川愛生女流三段

毎週土曜に囲碁将棋チャンネルで放送されている女流王将戦。
16人の本戦トーナメントで1回戦が進行中である。

今週は「むろやん」こと室谷さんの登場。大人気の女流だ。そして聞き手に香川さんというこちらも人気女流。
目立たないが藤井奈々さんというのも、観る機会があるのはうれしい。
なお、誰もマスクをしておらず、全くコロナ禍以前の風景だ。

室谷は女流通算166勝107敗。解説の塚田「室谷は昭和の振り飛車という感じ。受け主体」
藤井は女流通算20勝25敗。塚田「振り飛車党で攻めが強い」 香川「藤井は大学の後輩」

事前のインタビュー
室谷「本戦は初めて出る。本戦の初勝利をお見せできれば」
藤井「女流初段に上がった一局目がこの対局。楽しみ」

先手室谷で、相振りになった。▲向かい飛車vs△三間飛車で、相金無双。しかし双方、左の金は初期位置のまま待機。

序盤はすぐに終わり、戦いになった。角銀の総交換で、双方、手が広い。
室谷は桂損したが、強襲を仕掛ける。藤井がどう受けるか見ものだったが、藤井は超強気の受けを見せた。
私はTVの前で「うおっ、危ない!」と叫んでしまった。
塚田「これすごいですね、最強の受けですね」
香川「度胸がありますね」
やはり危険すぎた。室谷に普通に攻められ、攻めが続く恰好になった。
塚田「決まったふうですね、厳しい」
藤井の陣形はバラバラ、室谷に竜で攻められ、これは藤井はいいところがないか?

・・・室谷の攻めが決まったかと思われた。だが、ここから状況が一変する。
藤井は銀とスッと立って、見えにくい受けをしたあと、一転して攻め合いに出た。
手筋中の手筋、室谷の金無双に対してのコビン攻め。これがド急所。たった3手のうちに攻守が完全に入れ替わった。
藤井奈々、なんという状況判断のすごさ!盤面全体が見えてる。
塚田「これはいい判断」

互いに25分を使い切り40秒将棋。形勢は藤井がいいかも、と塚田。
香川「ここからが勝負ですね」

藤井の攻めが続きそう、塚田も攻めが決まっているのではないか、と言っている。
藤井が持ち駒の桂を△5五桂と打てば寄りでは、と塚田。
藤井が桂を持つ。どこに打つか、当然5五・・・と思いきや、打ったのは△3五桂!

これが痛恨のミスだった。すかさず室谷は玉を左に逃がす。ああああー、藤井、桂を5五に打ってれば・・・。

その後、手数は長くかかったのだが、藤井の攻めは切らされてしまった。室谷が受けの本領を発揮し、寄せ付けなかった。
室谷の受けは堅実で見事なものだった。131手で室谷が熱戦を制した。

塚田「戦いが早く起こって室谷がポイントを上げたかに見えたが、その後、藤井ががんばって多分逆転した。しかし桂の打場所を間違えた。双方が持ち味を出した将棋」

局後のインタビュー
室谷「うまくいったかなと思ったが、一筋縄ではいかなくて、押したり引いたりの駆け引きで二転三転したと思う。集中力を切らさずに落ち着いて指せたと思う。2回戦も自分らしい将棋を指したい」

この一局は好局だった。互いに力を発揮し、見せ場を作っていて面白かった。藤井奈々は負けたが、力量では室谷と全く互角に渡りあっており、強いところを示した。この負けはしょうがないだろう。22歳ということでまだ強くなるだろう。
女流将棋の面白さが詰まっていた一局で満足だ。

なぜか感想戦がなく、「番組が早く終了したので解けたら初段・七手詰を放送します」となってしまっていた。
な、なぜだ。5分でいいから感想戦をやってほしかった。