2021.06.08
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~角換わり・升田定跡と一手損△8四歩型~
さて、第11回目を迎えた。最初は「全10回くらいの予定」、と言っていたこの企画だけど、まだネタがあり、もっと続けられそうだ。
今回は、前回の続きで、角換わり相腰掛銀の升田定跡と、一手損角換わり相腰掛銀の△8四歩型を調べてみることにした。
何か新しい発見はないかな?ということで、試してみたのだ。
でも、結論から言って、何も目新しいことはなかった。予想どおりの数値が出た。
では見て行ってみよう。
図1 升田定跡 △3三銀まで

図1のように、▲7九玉vs△3一玉の先後同型の形を、升田定跡と呼ぶ。升田幸三プロがここから▲4五歩と仕掛ける筋を研究したとのこと。この図1は、ちょっと前までプロでさかんに指されていて、互角とされている。この図1を、例によって3つのソフトに考えさせた。思考時間は各10分ずつ。候補手は3つにしたが、ここで取り上げるのは2つまでとした。
<激指15> (定跡の利用有り)
±0 定跡手 ▲4五歩 (図1からの先手の最善手)
±0 定跡手 ▲8八玉 (図1からの先手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<激指15> (定跡の利用なし)
+68 ▲4五歩
-36 ▲4七金
<やねうら王>
+121 ▲4五歩
-82 ▲4七金
<水匠3改> (定跡の利用にチェックを入れた)
+205 ▲4五歩
-1 ▲4七金
<水匠3改> (定跡の利用なし)
+161 ▲4五歩
-1 ▲4七金
図2 一手損角換わり△8四歩型

図2は、後手が△7三桂と跳んだところまで。一手損角換わりなので、後手の飛車先の歩が△8四歩までしか伸びていない。
これが局面にどれほど影響を与えるのか。それを知りたかったので、ソフトに考えさせた。
<激指15>
+62 ▲8八玉
+64 ▲4七金 (次善手のほうが数値が高いが、ソフトではよくある現象)
<やねうら王>
+130 ▲8八玉
+16 ▲4七金
<水匠3改>
+78 ▲8八玉
-1 ▲4七金
~今回のまとめ~
升田定跡のほうの3つのソフトの最善手の平均値は、+116。一手損△8四歩型の平均値は、+90。なお、木村定跡の平均値は、+195。(いずれも定跡の利用なしの数値で計算)
升田定跡(図1)は、激指15によると、プロ間で329局前例があり、最近10年で151局指されていると出る。
それだけまだまだ難解で結論は出てないということだ。平均で+116で、そんなものだろう。
升田定跡を解説してくれよと言われても、超難解で私には絶対ムリ。プロが本を何冊も書けるだろう。
島プロの「角換わり腰掛銀研究」を御一読あれ。たぶん、将棋が嫌いになるから(笑)
一手損△8四歩型のほうも、平均で+90と、事前の予想の範囲内の点数だった。
どのソフトも▲8八玉と入城するのが先手の最善と出している。歩の位置が1つ違うだけで、全く別の世界が広がるのだ。
今回は、特に目新しい発見はなかった。正直、ハズレの回であった(笑)
こういうときもあるさ!そうそう面白い数値なんて出ない!次、行ってみよう!
次回は相掛かりの原始棒銀を取り上げてみる予定。ニーズがありそうなんで。
追記・図1と図2は、「イメージと読みの将棋観2」(2010年初版)にテーマとして載っている。
そこで書かれている勝率は、図1が平成(1989年)以降、先手の160勝110敗(0.592)。図2が平成15年(2003年)に初めて指され、それ以降で先手の28勝15敗(0.651)。しかし平成20年(2008年)以降では後手が6勝4敗と勝ち越しとのこと。もちろん数字は2010年までの話。
今回は、前回の続きで、角換わり相腰掛銀の升田定跡と、一手損角換わり相腰掛銀の△8四歩型を調べてみることにした。
何か新しい発見はないかな?ということで、試してみたのだ。
でも、結論から言って、何も目新しいことはなかった。予想どおりの数値が出た。
では見て行ってみよう。
図1 升田定跡 △3三銀まで

図1のように、▲7九玉vs△3一玉の先後同型の形を、升田定跡と呼ぶ。升田幸三プロがここから▲4五歩と仕掛ける筋を研究したとのこと。この図1は、ちょっと前までプロでさかんに指されていて、互角とされている。この図1を、例によって3つのソフトに考えさせた。思考時間は各10分ずつ。候補手は3つにしたが、ここで取り上げるのは2つまでとした。
<激指15> (定跡の利用有り)
±0 定跡手 ▲4五歩 (図1からの先手の最善手)
±0 定跡手 ▲8八玉 (図1からの先手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<激指15> (定跡の利用なし)
+68 ▲4五歩
-36 ▲4七金
<やねうら王>
+121 ▲4五歩
-82 ▲4七金
<水匠3改> (定跡の利用にチェックを入れた)
+205 ▲4五歩
-1 ▲4七金
<水匠3改> (定跡の利用なし)
+161 ▲4五歩
-1 ▲4七金
図2 一手損角換わり△8四歩型

図2は、後手が△7三桂と跳んだところまで。一手損角換わりなので、後手の飛車先の歩が△8四歩までしか伸びていない。
これが局面にどれほど影響を与えるのか。それを知りたかったので、ソフトに考えさせた。
<激指15>
+62 ▲8八玉
+64 ▲4七金 (次善手のほうが数値が高いが、ソフトではよくある現象)
<やねうら王>
+130 ▲8八玉
+16 ▲4七金
<水匠3改>
+78 ▲8八玉
-1 ▲4七金
~今回のまとめ~
升田定跡のほうの3つのソフトの最善手の平均値は、+116。一手損△8四歩型の平均値は、+90。なお、木村定跡の平均値は、+195。(いずれも定跡の利用なしの数値で計算)
升田定跡(図1)は、激指15によると、プロ間で329局前例があり、最近10年で151局指されていると出る。
それだけまだまだ難解で結論は出てないということだ。平均で+116で、そんなものだろう。
升田定跡を解説してくれよと言われても、超難解で私には絶対ムリ。プロが本を何冊も書けるだろう。
島プロの「角換わり腰掛銀研究」を御一読あれ。たぶん、将棋が嫌いになるから(笑)
一手損△8四歩型のほうも、平均で+90と、事前の予想の範囲内の点数だった。
どのソフトも▲8八玉と入城するのが先手の最善と出している。歩の位置が1つ違うだけで、全く別の世界が広がるのだ。
今回は、特に目新しい発見はなかった。正直、ハズレの回であった(笑)
こういうときもあるさ!そうそう面白い数値なんて出ない!次、行ってみよう!
次回は相掛かりの原始棒銀を取り上げてみる予定。ニーズがありそうなんで。
追記・図1と図2は、「イメージと読みの将棋観2」(2010年初版)にテーマとして載っている。
そこで書かれている勝率は、図1が平成(1989年)以降、先手の160勝110敗(0.592)。図2が平成15年(2003年)に初めて指され、それ以降で先手の28勝15敗(0.651)。しかし平成20年(2008年)以降では後手が6勝4敗と勝ち越しとのこと。もちろん数字は2010年までの話。
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