♪七回目のベルで 受話器を取った君~ 名前を言わなくても声ですぐ 分かってくれる~
というわけで、めでたく第20回を迎えたこの企画。BGMには宇多田ヒカルが流れている。

今回は横歩取りを調べてみる。△4五角戦法と相横歩取り戦法だ。この2つの戦法を、ソフトはどう考えるのか。
特に△4五角戦法の評価の悪さはどれほどか、知りたかった。では行ってみよう。
各10分ずつ。候補手は3つで調べたが、ここに載せたのは2つ。

図1 基本図 ▲3四飛まで


図1のように、相居飛車で角道を開け合い、先手が3四の横歩を取る形を横歩取りと言う。
ここから色々な戦い方がある。その中で奇襲とされている代表格が△4五角戦法というもの。
図1から△8八角成▲同銀△2八歩▲同銀△4五角と進んだのが図2。

図2 △4五角まで


なお、激指15で検討モードを定跡有りにすると、前例が出る。△4五角の局面はプロ間で15局。最近10年で2局と出た。

<激指15> 定跡の利用なし
+84 ▲2四飛 (図2での先手の最善手)
+5 ▲7七角 (図2での先手の次善手) 以下、他のソフトも同様。

<やねうら王>
+605 ▲2四飛
+222 ▲7七角

<水匠3改> 定跡の利用なし
+590 ▲2四飛
+81 ▲3五飛


では、次に相横歩取り。図1の基本図から、△8八角成▲同銀△7六飛と進む戦い方を相横歩取りと言う。

図3 相横歩取り △7六飛まで


激指15によると、図3の局面はプロ間で161局前例があり、最近10年で34局指されていると出る。

<激指15> 定跡の利用なし
+202 ▲7七桂 (図3での先手の最善手)
+193 ▲7七銀 (図3での先手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。

<やねうら王>
+416 ▲7七銀
+330 ▲7七桂

<水匠3改>
+318 ▲7七銀
+252 ▲7七桂


さて、おまけとして、もう1つ調べてみた。それは青野流という、近年、幅を利かせている戦法だ。(青野流は2018年に升田幸三賞を受賞している)
これが優秀なため、横歩取りの後手を持ちたがらない人が増えたという話をよく聞く。
その結果、相掛かりや雁木が増えたらしい。青野流の評価値はいかほどか。調べてみた。

図1の基本図から、△3三角▲5八玉△2二銀▲3六歩△8二飛▲3七桂と進んだのが図4。
先手は飛車を引かず、右桂を跳ねていく。これが青野流という指し方だ。

図4 青野流 ▲3七桂まで


激指15は図4はプロ間で17局前例があり、最近10年で13局ありと出る。
少ないように思うが、激指15が発売されたのが2019年。うーん、17局しか前例がない?よく分からない。

<激指15>
+78 △4二玉
+154 △8八角成

<やねうら王>
+311 △4二玉
+355 △8八角成

<水匠3改>
+204 △4二玉
+242 △8八角成

~今回のまとめ~
まず△4五角戦法の評価だが、激指はたった+84と出した。しかし、やねうら王がなんと+605。序盤の作戦選びの時点で、もう600を超えるとは・・・。そして水匠も、なんと+590という評価。冷静な水匠先生がこんな数字を出すとは。
やはり△4五角戦法は奇襲なのだ。ちなみにこの戦法は、後手が攻め切るか先手が受け切るかという戦いになる。

次に相横歩取りだが、これも後手にとって厳しい評価が出された。やねうら王が+416。水匠が+318。
詰みまで研究されているが、まだ結論が出されてない無茶苦茶に難解な戦いなのだ。しかしソフトは作戦選びの時点で差があるとしている。

最後に青野流。やねうら王が+311。水匠が+204。先手に不満なしの数値だ。
なお、私に横歩取りのことを訊かれても、何も分からない(^^; 空中戦がとにかく苦手で、指していても観ていても、ちんぷんかんぷん。私は横歩の取れない居飛車党なのだ。もう、しょうがないよね。

♪It's Automatic 抱きしめられると 君とparadiseにいるみたい~
というわけで、今回はこれで終わり。また次のテーマで会いましょう~。