2021.06.21
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~端角中飛車と九間飛車~
♪シェリー 俺は転がり続けて こんなとこにたどりついた シェリー 俺はあせりすぎたのか むやみに何もかも捨てちまったけれど
というわけで、今回の第24回で、この企画も最終回。BGMには尾崎豊が流れている。
今回は2つ取り上げる。まずは端角中飛車。初手から▲9六歩△3四歩▲5六歩△8四歩▲5八飛△6二銀▲5五歩△5二金右。
これはタイトル戦で指されている。1996-07-11 王位戦 ▲深浦康市 vs. △羽生善治の一局だ。
図1 端角中飛車 △5二金右まで

図1から▲9七角と出たのが深浦の作戦だった。これは成立しているのか。
例によって、「イメージと読みの将棋観2」に、図1に対するプロの意見があるので、それを紹介する。
羽生「▲9七角と出ちゃうと若干不利」
佐藤康光「▲9七角と上がると先手は苦しくなる」
森内「やったらやったで面白いのでは?でも自分が敢えてやるかといわれれば、やりませんけど」
谷川「(▲9七角と上がらずに)△8五歩に▲7六歩と突けば一局」
渡辺明「厳密には、△8五歩に▲9七角と上がるのはちょっと無理なんでしょう」
藤井猛「▲9七角から▲5六飛で持久戦になる。一局だけならうまくいくかもしれないが、先手がよくなるのは限られたパターンしかない。▲9七角と上がってしまうと、先手勝率のイメージは30%」
▲9七角を否定する棋士がほとんど。ではソフトの見解はどうか。
まず、図1を水匠3改に10分、考えさせた。すると、-152という数値を出した。ソフトは振り飛車を不利飛車と見るし、▲9六歩も何だか一手パスのような手なので、こんな数値で妥当だろう。
そこで次に、図1から▲9七角と上がった局面を3つのソフトに考えさせた。
各10分、考えさせた。候補手は3つで調べたが、載せたのは2つ。
<激指15>
-215 △8五歩 (▲9七角とした場合の後手の最善手)
-215 △9四歩 (▲9七角とした場合の後手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
-435 △4二銀
-430 △8五歩
<水匠3改>
-295 △9四歩
-281 △4二銀
プロ棋士6人が言うとおり、▲9七角と上がると、のきなみけっこうなマイナスになってしまった。相変わらず、やねうら王は差をつけるね(^^;
5筋がすぐに突破できるわけではないので、形を決めすぎなのだと思う。
なお、▲深浦vs△羽生では、羽生が5筋を金銀4枚でガッチリ守って勝っている。
さて、次。次もプロの実戦から。
2001-07-01 将棋日本シリーズ ▲佐藤康光 vs. △先崎学
九間飛車って何だと思われるだろうが、後手が△9四歩~△9五歩~△9二飛~△9四飛と浮く作戦だ。
上記の実戦では初手から▲7六歩△9四歩▲2六歩△9五歩▲2五歩△3二金▲4八銀△7二銀▲7八金△9二飛と進んだ。
それが図2。
図2 九間飛車 △9二飛まで

△9二飛で、後手は作戦の正体を現した。この図2をソフトはどう見るか。
<激指15>
+122 ▲2四歩
+76 ▲3八銀
<やねうら王>
+342 ▲3六歩
+338 ▲6八玉
<水匠3改>
+232 ▲3六歩
+196 ▲6九玉
この▲佐藤康光vs△先崎の戦いは、後手が3筋の位を取り、△9四飛~△3四飛と形良く駒組みすることに成功した。
序盤を互角にすることに後手が成功している。しかし結果は康光の勝ち。
~今回のまとめ~
端角中飛車も、九間飛車も、なかなかうまくいかないようだ。まあそれが奇襲たるゆえんだが。
でも、こういう将棋を試してくれるプロたちには敬意を表したい。昔はソフトがなかったから、自力で考えてたんだろうし。
♪シェリー いつになれば 俺は這い上がれるだろう シェリー どこへ行けば 俺はたどりつけるだろう シェリー 俺は歌う 愛すべきものすべてに
明日、目次のページを作って、この企画の終わりとしたい。ではでは。
というわけで、今回の第24回で、この企画も最終回。BGMには尾崎豊が流れている。
今回は2つ取り上げる。まずは端角中飛車。初手から▲9六歩△3四歩▲5六歩△8四歩▲5八飛△6二銀▲5五歩△5二金右。
これはタイトル戦で指されている。1996-07-11 王位戦 ▲深浦康市 vs. △羽生善治の一局だ。
図1 端角中飛車 △5二金右まで

図1から▲9七角と出たのが深浦の作戦だった。これは成立しているのか。
例によって、「イメージと読みの将棋観2」に、図1に対するプロの意見があるので、それを紹介する。
羽生「▲9七角と出ちゃうと若干不利」
佐藤康光「▲9七角と上がると先手は苦しくなる」
森内「やったらやったで面白いのでは?でも自分が敢えてやるかといわれれば、やりませんけど」
谷川「(▲9七角と上がらずに)△8五歩に▲7六歩と突けば一局」
渡辺明「厳密には、△8五歩に▲9七角と上がるのはちょっと無理なんでしょう」
藤井猛「▲9七角から▲5六飛で持久戦になる。一局だけならうまくいくかもしれないが、先手がよくなるのは限られたパターンしかない。▲9七角と上がってしまうと、先手勝率のイメージは30%」
▲9七角を否定する棋士がほとんど。ではソフトの見解はどうか。
まず、図1を水匠3改に10分、考えさせた。すると、-152という数値を出した。ソフトは振り飛車を不利飛車と見るし、▲9六歩も何だか一手パスのような手なので、こんな数値で妥当だろう。
そこで次に、図1から▲9七角と上がった局面を3つのソフトに考えさせた。
各10分、考えさせた。候補手は3つで調べたが、載せたのは2つ。
<激指15>
-215 △8五歩 (▲9七角とした場合の後手の最善手)
-215 △9四歩 (▲9七角とした場合の後手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
-435 △4二銀
-430 △8五歩
<水匠3改>
-295 △9四歩
-281 △4二銀
プロ棋士6人が言うとおり、▲9七角と上がると、のきなみけっこうなマイナスになってしまった。相変わらず、やねうら王は差をつけるね(^^;
5筋がすぐに突破できるわけではないので、形を決めすぎなのだと思う。
なお、▲深浦vs△羽生では、羽生が5筋を金銀4枚でガッチリ守って勝っている。
さて、次。次もプロの実戦から。
2001-07-01 将棋日本シリーズ ▲佐藤康光 vs. △先崎学
九間飛車って何だと思われるだろうが、後手が△9四歩~△9五歩~△9二飛~△9四飛と浮く作戦だ。
上記の実戦では初手から▲7六歩△9四歩▲2六歩△9五歩▲2五歩△3二金▲4八銀△7二銀▲7八金△9二飛と進んだ。
それが図2。
図2 九間飛車 △9二飛まで

△9二飛で、後手は作戦の正体を現した。この図2をソフトはどう見るか。
<激指15>
+122 ▲2四歩
+76 ▲3八銀
<やねうら王>
+342 ▲3六歩
+338 ▲6八玉
<水匠3改>
+232 ▲3六歩
+196 ▲6九玉
この▲佐藤康光vs△先崎の戦いは、後手が3筋の位を取り、△9四飛~△3四飛と形良く駒組みすることに成功した。
序盤を互角にすることに後手が成功している。しかし結果は康光の勝ち。
~今回のまとめ~
端角中飛車も、九間飛車も、なかなかうまくいかないようだ。まあそれが奇襲たるゆえんだが。
でも、こういう将棋を試してくれるプロたちには敬意を表したい。昔はソフトがなかったから、自力で考えてたんだろうし。
♪シェリー いつになれば 俺は這い上がれるだろう シェリー どこへ行けば 俺はたどりつけるだろう シェリー 俺は歌う 愛すべきものすべてに
明日、目次のページを作って、この企画の終わりとしたい。ではでは。
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