11月24日、棋王戦挑戦者決定戦トーナメントで、▲郷田vs△佐藤康光の一戦があった。
そこで出た、康光流の変則序盤作戦。それが半端なくすごかったので、話題になっていた。知っている人も多いと思う。

康光の後手一手損角換わりから、康光が向かい飛車に。
そこから7一の銀を、△8二銀~△9三銀~△8四銀~△8五銀~△9六銀と進出させたのだ。後手玉は居玉のまま。
人呼んで、「康光流暴銀」。あばれる銀と書く。

これをソフトたちはどう評価するのか気になったので、調べてみた。激指15、やねうら王、水匠4改の3つ。考慮時間は各10分。
まずは△9三銀の局面。プラスの値が大きいほど、先手側の郷田が良しであることを示している。

図1 康光流暴銀 16手目△9三銀まで


<激指15> 
+262 ▲6五角 (次の先手の最善手。以下、他のソフトも同様) (+は先手側に有利なことを示している)

<やねうら王>
+480 ▲4七銀 

<水匠4改>
+351 ▲2五歩


図2 康光流暴銀 20手目△8五銀まで


<激指15>
+277 ▲7七銀 (次の先手の最善手。以下、他のソフトも同様)

<やねうら王>
+620 ▲7七銀 

<水匠4改>
+358 ▲7七銀


図3 康光流暴銀 22手目△9六銀まで


<激指15>
+666 ▲8六角 (次の先手の最善手。以下、他のソフトも同様)

<やねうら王>
+1021 ▲8六角

<水匠4改>
+594 ▲8六角


この一戦、康光の作戦を郷田がとがめることに成功したが、まだまだ難解な中盤が続く。郷田優勢だったが、終盤で康光が逆転勝ちを収めている。(終局は138手)
康光の作戦、なんという面白い指し方であることか。まるで将棋を覚えたての初心者だ。
康光の「俺はAIなんかには頼らねえ!」という叫びが聞こえてくるようだ。
AIは△9三銀の時点で先手側に振れているが、そんなことはおかまいなし!!AI、逝って良し!!
JOJO風に「オラオラ」や「無駄無駄」で言うと、AIがどう言おうと「微差微差微差微差~!」となるだろう。

さらに私は、尾崎豊のScrambling Rock'n'Rollという歌を思い出した。
♪自由に指したくないかい?熱くなりたくはないかい?自由っていったい何だい?君は思うように指しているかい?
今まで私が観てきた中でも、格別にすごい珍作戦。康光会長、素晴らしい!!歴史に残る一局!パチパチパチ!!