第30期銀河戦が終わり、新たに第31期銀河戦が始まっている。
女流枠が前期の2枠から、今期は4枠に増えて、私としてはとてもうれしい。
囲碁将棋チャンネルさん、ありがとう!

今期の女流4人の戦いぶりはどうだったのか、簡単に振り返りたい。

Eブロック1回戦 加藤桃子女流三段vs星野良生五段
相矢倉の力戦。カトモモが早々に桂を五段目に跳ねていったが、これが取り切られてしまった。ほぼ無条件の桂損。その後は差が開いて、危なげなく星野が勝ち切った。カトモモ、完敗。

Fブロック1回戦 伊藤沙恵女流名人vs長沼洋八段
相居飛車で伊藤の矢倉、長沼の中住まいという力戦。中盤、危ない手を長沼が指し、伊藤が長考。AIの評価値は80%まで伊藤有利に上昇。伊藤、最善手を指せるか!という非常に盛り上がる展開に。しかし、伊藤は最善手を逃す。あああー。惜しかったと言えるのか?伊藤はその急所で考慮時間を3回くらい使っていたのに、間違えた。終盤は伊藤は攻めが切れ模様になり、負けた。

Gブロック1回戦 
里見香奈女流五冠vs矢倉規広七段
里見はいつもの中飛車。矢倉が居飛車で見たことない囲いを採用。中盤のねじり合いのところで、里見が優位に立つ。評価値が70%まで里見側に振れる。しかしそこから里見が崩れた。矢倉の疑問手をとがめきれず、成立させてしまう。結局、矢倉にごまかされて、里見は失速。いったん有利になった矢倉は完璧な指し回しを見せ、最後は大差で矢倉が勝った。

Hブロック1回戦
西山朋佳女流二冠vs安用寺孝功七段
西山のノーマル三間+美濃に、安用寺もオーソドックスな居飛車穴熊で対抗。
戦い開始早々から、西山が苦しくなる。盤面の飛車側で普通に居飛車がリード。玉も居飛穴のほうが堅い。西山はどこに主張があるのか。安用寺は徹底した安全運転で、逆転を許さない。手数は158手と、かかったものの、安用寺の完封勝ちとなった。西山、完敗。

結局、女流勢は4人、全滅。内容的にも、完敗2局と逆転負け2局で、悪かった。
しかし私は満足だ。2人しか出てなくてその2人が負けても、たまたまか?となる。
4人出て4人負けたら、実力だ、となる。納得できる。来期もぜひ女流枠4名でお願いしたい。頼みます。

最後に、▲伊藤沙恵女流名人vs△長沼洋八段の一戦から、一番の急所となった局面を載せる。
現在、後手の長沼が4四にいた銀を△4五銀と上がったところ。
これが悪手で、AIの評価値が80%まで先手に傾いた。
次の一手で伊藤が一気に優位に立てる手がある。それを当ててみてほしい。







正解は▲5六銀とぶつける手。これを指していれば伊藤が優勢だった。以下△同銀なら、▲3六飛と十字飛車をかけて、先手が攻め駒がさばけて一気に抜け出せる。しかし伊藤は考慮時間を3回ほど使ったにもかかわらず、▲5八飛と指し、紛れてしまった。残念!
(▲5六銀には△3四銀が辛抱のいい手だが、その場合は▲5五銀以下、先手の攻めが続くと水匠5の判断)