以下、当然、ネタバレしてます。

決勝は藤井聡太竜王vs佐々木勇気八段。
先手が勇気で、相掛かり。
序盤、角交換から、先手が▲7七金型、後手も追従して△3三金型という、見たことのない形になった。
これには解説の木村も、「弱い人どうしみたい」と発言し、面白かった。

評価値が表示されているが、全く五分五分のまま、こう着状態に。どうやって戦いが起こるかわからない。
駒組みが飽和になっていたとき、番組開始から30分ほどが経過していた。

これを打開したのは後手の聡太。先に一歩損するから、果敢な積極策だった。形勢は互角のまま、戦いになった。
ここはやはり本局のキーポイントだったと思う。打開した結果が互角なら、打開した側がペースを握りやすい。
人どうしの戦いは、そういう面がある。

聡太の厳しい攻めが始まった。手持ちの角を△9三角と据えて、これが強烈なニラミだった。
結局、勇気は攻めを受けきれず、2枚替えになってしまった。聡太が角銀を取り、勇気が飛車を取った。
評価値は▲30対△70ぐらいで聡太が押している時間が続く。

勇気がなんとかしようと、がんばっているのは分かるのだが、聡太の手がまったく緩まない。
聡太は候補手の一番手の手をバンバン指していく。
と金を王手で活用する△7七と、の妙手も出た。差が開く一方なのが、伝わってくる。

勇気が、最後のお願いと、詰めろ逃れの詰めろの角打ちを放ったが、聡太は動じなかった。
最後は軽々と即詰みを決め、聡太の完勝となった。116手で聡太の勝ち。つ、強い・・・。
木村「聡太の会心譜」 
聡太が大きなミスが一手もない、「藤井曲線」を描いた一局だった。

聡太は3回、考慮時間を余しての勝ち。
たしかに勇気もがんばっていたのだが、本局は相当、両者の間に力の差があった内容だったと私は感じた。
聡太の早い読みと正確な大局観、そして優れた構想力が存分に発揮されていた。
正直、聡太と他の棋士では、角一枚ぐらい、棋力が違うのではないだろうか。

カネの取れる将棋。それが聡太の力。NHK杯の優勝も、納得だ。
これで聡太は今年度、一般棋戦と呼ばれる、銀河戦、日本シリーズ、朝日オープン、そしてNHK杯と、4つ優勝というグランドスラムを成し遂げた。ついでに、新銀河戦(非公式)も優勝している。

私もついつい本局は聡太を応援して観てた(^^; 私もミーハーファンなのだろう(笑) 
はあー、聡太の強さが発揮された一局で、観てよかったよ。私は満足だ。パチパチパチ。