PM5時になり、阿部八段の登場、客から拍手が起こる
阿部「えー、今日はみなさん、来てくれてありがとうございます、
おおぜいのみなさん、とは言えませんが(笑)」
それもそのはず、雨の影響かどうかはわからないが、客はなんとたったの15人くらいだ(^^;
自分はギリギリに着いたにもかかわらず、最前列のアリーナ席に座ることができた

戦型は後手羽生のゴキゲン中飛車になった
阿部「この前の第3局で、先後逆で佐藤さんのほうがゴキゲンを指して負けているので、
『今日は俺がゴキゲンの指し方を教えてやる』という羽生さんの意思表示かもしれません、
これは佐藤さん、内心はカッと熱くなっているでしょうね」

阿部解説によると、佐藤の序盤の▲3六銀、が用意の手、とのことだ
ふつうは左の銀を▲7七銀と上がってから、▲3六銀とするのが今までの形だそうだ
しかし、阿部さんもこの手は知っていて、「私も前に研究会で指していて、
この▲3六銀もあるんじゃないか、という話が出ていました」と言っていた
いったいプロのいう「研究」とはどこまで奥が深いのだろうか、自分にはわからない、
すごいな、と思うよりない

その後、形勢はどんどん佐藤が良くなっていく 素人目にも、羽生の作戦負けは明らかだ
阿部「△6三歩、△5三歩は、うーん、もうねえ、なんというか、指せない手です、
どっかの田舎のおじさんが指した手かと思いますね、
これは名前を隠して棋譜だけ見たら、後手はアマチュア初段か、と思うでしょうね」

佐藤の駒がどんどん左で盛り上がり、9筋に歩が垂れて、優勢は明らか、
しかし、ここからの羽生のねばり、佐藤の的確な攻め方は見ごたえがあった
この将棋は、序盤の佐藤の構想がモロに決まり、どっちが勝つか、というハラハラした将棋では
なかった しかし、佐藤の4筋を放置して金を左に上がった構想、▲8九玉~▲7八飛の発想、
そして、ものすごい大差と思われていたにもかかわらず、結果的には一手違いに
持ち込んだ羽生の勝負術、最後に駒を余らせずにピッタリ見事に詰めた佐藤の終盤力、
2人とも、さすがだった もっと大差になるか、と思われただけに、自分としては充分満足だった

解説会は、やっぱりいいものだと思った
ひさしぶりに行ったからよけいにそう思ったのかもしれない
客が、たったの15人くらい、というのも関西会館ならではだろう
アットホームな雰囲気、という言いつくろいが悲しくなるくらいの人数ではあるが(笑)

自分も、阿部さんに序盤で「次の一手は、みなさんならどう指しますか?」と聞かれて、
阿部さんと目が合ったので、「▲7七角」と答えたら、「あ、それもいい手ですねえ」と言われて、
うれしかった(本譜は▲6八金だった)
途中、次の一手のクイズがあり、正解者は自分も含めて10人、
全員に扇子などの、なんらかの商品があたった 自分も当たったので、カレンダーをもらった

自分のとなりには子供が2人座っていて、終盤のほうになると、阿部さんに代わって
「それは、こうやって、詰みやで」「でも飛車が利いてるで」「かなわんのー」などとしゃべりはじめ、
阿部さんに「きみら、漫才師か?さんまのカラクリテレビに将棋少年で出てなかったか?」と
突っ込まれていた(笑)

阿部さんは、最後に雑談で、裏話をしてくれた
阿部「タイトル戦で、佐藤さんが羽生さんに挑戦しつづけて負けていたとき、
佐藤さんに、『今日は飲むからつきあってくれ』と言われて、いっしょに飲んだんです、
佐藤さんは『羽生さんにリンチされてます』と言っていましたね、
だけど、佐藤さんは、それでも今からでも本気で羽生さんにトータルの実績で
勝とうとしているんですよ、佐藤さんはもうすぐ40歳に近い年齢なんですが、
それは本当にすごいと思いましたね」

たったひとつ、残念なことがある それは、次の第5局の解説会には自分は行けないのだ
3月の末には帰省する予定なのだ なんとも本当に残念だ
この羽生、佐藤の2人は、これからも熱戦を、そして名局を見せてくれるだろう