時期が遅れましたが、囲碁将棋チャンネルで6月21日に放送された、
第18回コンピュータ選手権のエキシビジョンマッチの勝又六段の解説を貼ります
持ち時間はお互い15分、切れたら30秒です

ファイル名:棚瀬将棋vs加藤幸男アマ.kif
先手:棚瀬将棋
後手:加藤幸男アマ

▲2六歩
*先手が準優勝の棚瀬将棋です
△8四歩
*後手の加藤さんは3年目です おととしボナンザ、昨年YSS、今年は棚瀬将棋との対戦です
▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
*相掛かりになって意表を突かれましたね
*棚瀬将棋には向かない戦型と思っていましたからね
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2六飛 △7二銀
▲3八銀 △6四歩
*加藤さんは居飛車党、数々の実績があり、プロと遜色ない実力ですね
▲7六歩 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8二飛
▲5八玉
*棚瀬将棋は全探索なので、手の広い中住まいは向かない、すぐ負けると解説でしゃべっていたんですけどね
△6三銀 ▲3六歩 △3四歩
*全く定跡どおりの進行です
▲3五歩 △同 歩 ▲3七銀
*相掛かりの早繰り銀です
△5四銀 ▲4六銀
*プロ棋士では、中川七段、中原永世名人、清水女流が得意としていますね
△4四角
*これも定跡です
▲3八金
*人間が相手のときは、コンピュータはデータベースをフルに使っています
△2二銀 ▲3四歩
*次に△3三銀~△3四銀と出られると困るので、▲3四歩です
△4二玉
*この次の手から棚瀬将棋はデータベースからはずれて、自力で指しています データベースでは△5二金と入ってたんですね
▲3七桂
*この手でよく多いのは▲7五歩ですね
△5二金 ▲4四角 △同 歩 ▲3五銀 △4三銀 ▲7七桂
*この局面が問題でした ほとんどの形は▲3七桂でなく▲7五歩となっているんですよ 両方の桂が跳ねてもうまくいかないというのと、玉が狭くなるので、指されないんです それと、昔は必ず△1四歩▲1六歩の交換が入っていたんです 先手から▲1五角の筋がいつでもあるからです ここで△5四角は△3六歩の一点ねらいで打ちにくいんですが、その手が正解手でした
△3三歩
*この歩は▲1五角の筋があるし、打ちたくなるんですよ、僕も「うんうん、そうだな」と思ったんです
*この局面での第一感をプロ棋士5人くらいに聞いたら、全員△3三歩でした
▲4六飛
*ふつうは△5五角があるので、この飛は無い手なんですよ、▲3七桂と跳ねているから出来るんです
*加藤さんにとっては不幸としか言いようがないですが、この局面、もうつらくなっちゃいました ▲4四銀が受からないんです
△3四歩
*しょうがないから△3四歩と取りました
▲4四銀
*これを△同銀は▲同飛で、▲6四飛と暴れられて、後手が面白くないんです
△3三銀 ▲4三銀成 △同金左
*△同金右は6三の地点が空いてしまいます
*次の手が決め手になりました
▲6一角
*▲8三銀で飛車を取る狙いです △6三銀と受けると、▲7一銀△9二飛▲8三角成です
*▲7一銀に△8四飛だと、今度は▲6二銀成があります
△3五銀
*ここではまだしも△6三角▲7一銀△7二飛でしたが、それも後手苦しいですね
*ここから棚瀬将棋は速かったですね プロ級でした
▲5二角成
*(ギズモ注:ここで△同玉は▲4一銀△同玉▲4三飛成で、やはり先手有利のようです)
△同 飛 ▲3一銀
*この前に行なわれた棚瀬将棋vs激指をみんな見ていましたから、そのレベルならまだ大丈夫だろうと思っていたんですけどねえ この将棋のレベルはプロ級なんですよ
△3二玉 ▲2二金
*こういうイモ手が見えにくいんです
△同 銀 ▲同銀成
*ここで△4二玉は▲3一銀△3三玉▲2五桂があり、4三の金は結局受からないんです
△同 玉 ▲4三飛成 △4二金 ▲3四龍
*正解手で、辛いですね 以前はこういう手がコンピュータは指せなかったんですけどね
△3三金 ▲3五龍 △3四銀
*ここで竜を逃げなかったですね
▲同 龍 △同 金 ▲4三銀
*強いとしか言いようがないですね
△3六歩
*これは形づくりですね
▲5二銀不成
*不成のほうが詰ましやすいです
△3七歩成 ▲3二金 △同 玉 ▲4三銀打 △3三玉 ▲3二飛
*棚瀬将棋の完勝ですね ショックでした
*△3三歩は「形」だと思って打ったら、それが悪手だった、それにしてもこの将棋は棚瀬将棋が強かったですね

勝又六段「余談ですが、この日の4日後、この将棋を見ていた中川七段が北島六段を相手に、
      全く同じ形の将棋を指して勝ったんです
      なおかつ、後日渡辺竜王とこの戦型を指して、渡辺竜王は違う対策をしたんですが、
      やはり中川七段が勝ちました
      中川さんは、棚瀬将棋を『我が師と仰いでます(笑)』なんて言ってました」