森内俊之九段vs糸谷哲郎五段 3回戦
解説 井上慶太

ああー、糸谷の攻めはやっぱり通用しなかったか
森内、見事な▲8五桂打の妙手!

「無鉄砲が若者の売りかもしれないが、ムチャがすぎる!
名人に通用するもんか!」
そんな感じの一局になったね

先手森内が3手目▲6六歩と止めたのも驚いたが、糸谷は間髪いれずに△3五歩、
相振りになった 森内金無双、糸谷は穴熊だ
糸谷は積極的に仕掛けていったが、森内に的確に対応され、
反撃にあい、負けにした一局だった

しかし先手の攻めも本譜みたいに相当工夫が必要で、やはり後手が穴熊なんで、
一筋縄ではないなあと思わされた
終盤の妙手▲8五桂打がなかったら、どうなっていたか
その前の▲8二成香と引いたのも見事だったね
さすが森内だった

井上さんによると、関西の若手四天王は、糸谷、豊島、村田顕弘(あきひろ)、稲葉だそうだ

さらに糸谷の奨励会時代のエピソードをしてくれた
井上「僕が奨励会幹事のときに、糸谷君が『取った駒を相手の駒台に置く』ということをしたんですよ、
同じ幹事だった畠山さんと協議しまして、どうしようかとなったんです 結局反則負けになったんですが、そのとき彼は中学生だったのかな、彼の必勝形の将棋だったんで、彼はずいぶん泣きましてね、
で、ちょっと別室に呼んで、『ちょっと(今回の判定は)きつかったけど、お前が棋士になってタイトルを
取るようになったら、これが伝説になるんや』と言ったら、彼は『そうですかね?』とか言ってね(笑)
ピタッと泣き止んでね、それからもう泣くことはなくなりました」
こういう話は面白いね 

関西の若手四天王たちがタイトル戦に出てくる日はいつか、早く来ないかと楽しみだ