『現代の天才棋士 「1億と3手読む男」佐藤康光と 「捌きのアーティスト」久保利明は
タイトル戦の舞台に立った 神の一手を 極めるために』

♪君が今 僕を支えて 僕が今 君を支える 
だから迷い ながらも共に 生きていこうよ 未来へと

こんなアニメ「ヒカルの碁」の冒頭がピッタリくる、そんな名局中の名局だった
神崎先生が終局後に、「今期の将棋大賞、僕はこれに投票しよう」と言ったほどだった

超激しい急戦で、終盤の最後の最後、お互いに手の渡し合い
久保が▲4一竜と手を渡せば、康光は△5六金で手渡しのお返し、
そこでさらに▲7八玉の早逃げで手渡し!なんだこの応酬は!
康光は決めきれず、久保の勝ち!
これほど激しい攻め合いの将棋だったにも関わらず、最後は相手に手を渡すことが
勝敗を決める要因だなんて・・・ 

神崎先生から「手数は57手でした」と聞かされて、本当にびっくりした
70手くらいは、いっていると思った どんだけ濃い内容なんだ

久保の序盤の▲7五飛って何?こんな手を研究していたの?
そして康光の飛車を「成ってください」の△6五桂って、これも、どうやったら思いつくの?
もう一局のうちにすごい手が何手あるんだよ
そりゃあ、プロだから、「読み」は生まれつきすごいかもしれない、それはそうだろう
でも、この発想はどこからくるのか

PM5時、解説会開始 神埼先生登場、盛大な拍手が起きる、
と言いたいところだったが、客はなんと9人!
来る前から、今日は少ないだろうな、と思ってはいたけど、マジやべえよ、この少なさ(^^;
結局、客は15人くらいまでしか増えなかった
でも、自分としては、すごい贅沢な感じだ
客がすごい少なくて、貸し切りみたいな贅沢感があった(笑)

神崎「今日はめちゃくちゃ激しい将棋で、激しくてもどっちが優勢かわからない
内容になっています」 これが第一声だった

神崎「今日は5時から解説会なんで、もう早く終局しちゃったときのために、
以前の佐藤vs久保のA級順位戦の棋譜とかを用意していたんですけどね、
使わずに済みました」とのこと こう話す神埼先生、うれしそうだった
まあ、いつもうれしそうにしている人だけど(^^;

神崎「序盤のこのタイミングでの▲7四歩はめずらしいです、
次の▲7五飛!これは、(5階で検討している)豊島四段、西川四段、それから
奨励会員にも聞いてみたんですけど、初めて見る手、と言っていました
久保さんの新手ですね」

神崎「鬼殺しのような▲7七桂、久保さんらしい手です 対して△5四角は難しい手ですね
ここから久保さんは▲5五角で猛烈に攻めていきましたよ
タイトル戦なのか、10級同士の一戦なのかわからない棋譜です」

神崎「(28手目)△8七角成のほうが後手が調子が良く見えますがが、
そこで▲7五金という返し技があってそれはむしろ先手がいいようです」

神崎「実はこの2人、今までけっこう大事なところで当たっているんですよね
両者の意志がかみ合って、最短距離で終わらせようとしていますね」

神崎「△6五桂、これは驚きの一着です」
ええー、飛車を成ってもいいし、角を取ってもいいですよ、の△6五桂、こんな手があるの!?
そうか、▲7一飛成には△7五角で、先手玉が危険、
後手玉は王手で飛車を取られても合駒をしておけば大したことはないのか

神崎「(36手目)△9二飛と、ひょいと逃げると、意外に難しい?
△3九馬と銀を取る手は保留しましたね △4五桂で王手をしながら自玉を広げる手を
後手はどこかで指したいんです
久保さんは40分の長考で▲5三銀成~▲4一竜でゲタをあずけましたね 
▲7一飛成で寄せありで勝ちだと思ったはずですが、これは久保さん、予定変更でしょうね
対して、佐藤さん、37分考えて、△3九馬!
このタイミングで銀を取るのは一番なさそうな手でしたけどね
馬はこの位置のままで、他に王手で迫る手がいっぱいありましたからね
5階の検討陣は『△5六金で後手の勝ちなら、佐藤棋王は強すぎる』と言っていましたね」 

最後の勝敗の決め手になったのは、▲7八玉の早逃げだった
これも手渡しの一着だ 王手されたが、▲8八玉と逃げて、先手玉は後手に金が無いので詰まないのだ
ついに康光は秒に追われたのだろう、△5四歩で土俵を割った
神崎「記録係りの秒読みが聞こえてきますね 佐藤さん、秒に追われましたかね」

神崎「手数は短かったですけど、内容は濃かったですね」

いやいや、濃いなんてもんじゃないよ もう濃すぎるくらい濃い
神崎先生、ギャグを言うヒマもないくらいだった
ずーっと手を解説しまくっていてくれて、良かったよ
最後までどっちが勝つかわからず、詰めろ逃れの詰めろ、逃れの詰めろ みたいな筋の応酬、
途中に難解な変化膨大、これはすごい一局だった
自分が今まで見に来た解説会の中でも、屈指の一局だった

こんな将棋がタイトル戦で見れるんだ
どれだけ将棋の可能性って広く深いのか、こんな勝負があるから将棋観戦はやめられない